タイトル「バナナどうする」

 クロがバナナをもらったからって家に何房も持ってきた。
「何でこんなに……?」
「いや一箱もらったから……二房くらい食ってもらおうかなと思って……」
「……バナナってさ、足が早いじゃん?」
「まあな」
「おれん家は一房でいい」
「じゃあ、持って帰れと?」
「一房はね。明日学校に何房か持って行ったほうが早く処理出来ると思う」
「まあそうなんですけどね」
 一足早くおれに手渡したかったらしい。
 知ってるよ、そんなの。だけど二房はちょっと無理。ってことで一件落着。それはそれで終わった。
おれたちはそのバナナを処理するために何本か食べたんだけどなかなか減らないことにも気づいていた。
「どうしてクロのところにこんなにバナナが来たわけ」
「だからもらったんだって」
「クロが?」
「正確には姉ちゃんが、懸賞で当てた」
「ふぅん……。でもこんなに足の早いものを一箱も懸賞で出すなんてバナナ会社以外じゃ無理だよね」
「ああ。そのバナナ会社が出したものらしいぜ」
「そうなんだ……」
「そう」
「ふぅん」
 黙々と食べるおれを見たクロは「あのさ」と声をかけてきた。
「もうちょっと違うトコ感づいてくれない?」
「何?」
「俺、見たいんだよね」
「何を?」
「研磨の食べてるところ」
「 見てるよね、今」
「そうじゃなくて」
 クロが言うには、ガシガシ食べるところじゃなくて、アレをしゃぶってるようにバナナを舐めて欲しいってお願い。
「やらしぃ」
「いいじゃん。俺たち付き合ってるんだし」
「いいけど」
「じゃ、やって」
「いいけどさ……」
「やって」
 期待の眼差しで見られると『どうしてもやらなくちゃ』って気になる。
別にいいんだけどさ……何か釈然としないって言うかね。見られながらするもんじゃないと思うんだけど…………。
「んっ……ん……んっ……」
 皮を剥いたバナナを両手で持ってクロのモノをおしゃぶりするみたいに口に含む。舌で十分に転がしてから今度は舌でペロペロして見せる。
「これ……でいい?」
「ああ。凄くいいっ。いいよっ……!」
「そう……」
 でも……こんなことよりもっとおれはしたいことがあるんだけれど……クロはそっちは分かってくれないのかな…………。
 ペロペロレロレロとバナナを舐め回しているとクロは自分の股間に手を持っていくとギュッとソコを握り締めた。
「ぅっ」
「……」
 そうじゃなくて……。
 おれはちょっとムッとしながら舐めていたバナナを大きく一口ガシッと食べた。
「けっ研磨っ、それはちょっと……」
「クロはさ、おれにこんなことやらせて感じてるわけ?!」
「ぇ、だって……」
「おれがいるのに、おれがしてあげるのに、何でこんなことさせるわけ?!」
「えっと……さ、してもらってる時の顔……見れないじゃん?」
「ぇ……」
 見たいの? そんなの見たいの? 何かヤだ…………。
 もう一口ガシッとバナナを頬ばると渋い顔で噛み砕いて飲み込む。
「クロ、嫌いっ」
「えっ!」
「これってクロだけが喜ぶことだよね。おれに旨みはないよね?」
「それは……そうだけど…………」
「おれは、おれがちゃんと嬉しいことしたい」
「そ……れは……?」
「こんなバナナじゃなくて、しようよ」
「…………いいの?」
「いいけど」
「けど?」
「今日はおれがリードするっ」
「ぇっ……」
「駄目?」
「いや。……じゃあ、お願いします」



「んっ……んっ……ん……」
 クロには下半身裸になってもらって椅子に座って脚を開いた間に入り込んでいた。
両手で勃起したモノを支えると上目遣いに舌でチロチロと舐める。そうしているのはおれの顔が見えるようにだった。
「どう?」
「いいっ! でも駄目だ。そんなことされたら出ちゃうだろ?!」
 ぅぅぅっ……と半分唸りながら我慢しているのが分かる。
おれはいい気になって先走りの汁が漏れ出ているソレを口に含むとジュポジュポと上下運動を繰り返す。でもそれも数回で終わりを告げる。だってクロが早々に果てちゃったから。
「ごめん……」
「ほんとにね」
 お陰でおれはゲホゲホむせちゃって散々だったんだけど、まだまだ序章だからクロには頑張ってもらわないと。
精液で塗れた口を拭うと立ち上がって自分も下半身だけを脱ぎ去る。そして座っているクロに跨がると首に手を伸ばして抱きついた。
「研磨君、今日は積極的」
「クロ。 クロのチンポしゃぶっちゃったけど、キスしてもいい?」
「ヤだけどいいよ」
「良かったっ」
 ミソクソ一緒と言われればそれまでなんだけど、抱きつきながら舌を出して唇を重ねる。
クロはいつも大胆で、おれはいつも流されちゃうんだけど、今日はおれのリードだから十分にクロを味わうことにする。
「んっ……んっ……ん……」
 クロの手がおれの体を這い回る。背中・肩胛骨・脇・腰・そして尻や脚。
おれがクロの舌を味わってる間に、クロはおれの体を指で堪能してる。そしておれもそれを嫌ってわけじゃなくて溺れてる、ってか感じてる。
密着したふたりの間でピクピク揺れるおれのモノが汁を流していて、それを指で掬い取ったクロがおれの中に指を差し込んでくる。
「んんっ……んっ……」
 ギュッと抱きしめられながらソコを解すのに気を取られると舌がおろそかになる。それをおれが一生懸命絡ませるんだけど尻の力を抜きながらの作業は難しさしかなかった。
「ふぁっ……ぁぁっ……ふっ……ぅぅっ…………」
「お前が意欲的なの、好きよ」
「ばかっ……ぁっ……ぁ……ぁぁっ…………んっ」
 ズブズブとソコに指を抜き差しされて解される。そしてすぐに指が抜かれてモノが挿入を開始する。
「うっ……! んっ! んっ! んっ! んんっ! んっ…………!」
「ぁぁぁっ……」
 クロの感嘆の声と同時にしっかりみっちりとモノが埋め込まれる。おれは息も絶え絶えになりながらもクロのモノを味わおうとしていた。だけどクロは根本までモノを挿入させると即座に出し入れを開始するもんだから、川に流される木の葉のごとく揺れるしかなくて涙が流れてしまう。
「早いっ……早いよ、クロっ…………ぅっ……ぅぅっ……ぅ」
「ぁ、ごめん。じゃ、ちょっと慣らそうか」
「うんっ」
「バナナ食べる?」
「いらないっ…………!」
 抱き着いたままバシッと背中を叩くと苦笑いされた。
優しく背中を撫でられて首筋にキスをされるとだんだん体が慣れてきたので耳元で「いいよ」と囁く。そしたら勢いの良さが復活しておれはまた苦しくなる。でもただ苦しいだけじゃないから気にしてない。ただ「今日はおれが」って言ったのに、結局クロ主導じゃないとことが進まないのは自覚した。
「ぁっ……ぁっ……ぁぁっ……ぁっ」
 クロに抱かれながら下から突かれて感じてる。クロもおれの中で感じてるのが分かる。背中に手を回してきつく抱き着いてクロの首に顔を埋めると、口を開くたびにクロの首筋に歯が当たってしまい傷をつけてるんじゃないかって気になる。
「もっ……いい?」
「うんっ……」
 そう答えたおれは、今まで触ってこなかった自分のモノを握りしめると片手てしごいた。
ふたりの体の間で今まで押し潰されてきただけのモノは触っただけで弾けそうになっちゃったけど、そこは我慢でクロと一緒にイくためにタイミングを見計らう。
「出るっ……っぅ……ぅ…………」
「ぅっ……ぅぅ……ぅ」
 クロはおれの中に、おれはおれの手の中に同時に果てた。
すべてを出し切ってしまうと抱き合ったまま床に転がる。それでもまだ繋がっているからおれのほうから身を離すと大の字になった。
近くにはクロが持ってきたバナナが二房。おれたちはそれからどっちがいやらしくバナナを咥えるか向かい合ってやり合って、また二回戦を繰り広げた。
バナナって試合以外に食べちゃ駄目なヤツだ。
終わり
タイトル「バナナどうする」20210512