タイトル「不浄な兄」

 兄・逢妻塔世(あいづま-とうせ)は、僕・津々羅(つづら)より7つ上の26歳。
 自分が一番可愛がられていると思っていたところに、突如として出来てしまった僕は、兄から疎まれはしたものの可愛がられたことなんか一度もなかった。親の前ではいい子なのに二人きりになると厭味ばかり言われ、つねられたり、時には叩かれたりもした。
 そんな環境で育った僕だから、兄に対しては異様に陰湿な感情を抱く。
 体だって兄さんは順調に育って人並みなのに比べ、僕は叩かれて、けなされて、卑屈なまんま。髪の毛も色素が抜けてるみたいに茶色だし、兄さんみたいに背格好も良くないし、筋肉だってそんなについてない。まるで女の子みたいだ。だから僕は兄さんと一緒に並ぶのがすごく嫌だった。
 そんな僕と兄さんは今、親元を離れて一緒に暮らしている。
 見た目は仲のいい兄弟二人暮らしだが、実は違う。だって兄さんは僕を住み込みの家政婦くらいにしか思っていないからだ。用事のある時だけ呼びつけて、それ以外は無視に等しい。
 兄さんは社会人で、一応名の通ったところに勤めていた。だけど僕はまだ学生で、それも名前を聞かれても地元じゃなきゃ、まず分からない程度の大学だ。これじゃ先は決まっているも同然だが、別に自分のことを惨めだとか思っているわけじゃなく、兄さんが僕を見下すその目が嫌だった。


 それが崩れたのは先週だ。
 二日間、兄さんは何の連絡もなしに家に帰って来なかった。一緒に住んでる人間が帰って来ないわけだから、僕だって一応心配した。会社に電話してみようか…とか何とか考えたけれど、でも迷惑かけたら倍返しに会うから結局出来なかった。
 で、夜。深夜にも近い時間になって帰ってきた兄の格好は、今まで見たこともないものだった。思わず目を丸くしてしまうほど彼は乱れていたんだ……。
「どうしたんだよ、その格好……」
「………」
 目がうつろで、着ているコートもスーツも汚れてて、ワイシャツなんかは引き出されて見苦しい。ベルトもバックルが外れて垂れてるし、ネクタイはどっちか引っ張られたみたいにグシャグシャだ。まるで強姦とか会ったみたいに……………。
「兄さん……………」
「ぅ………」
 彼は玄関を入ったところで崩れ落ちて、そのまま気絶した。慌てた僕は救急車を呼ぼうと携帯を手にしたけど、何と説明したらいいのか迷って諦めた。

「くそっ…重いっ………」
 両脇に手を差し入れて意識のない相手を引きずるように運ぶ。兄の部屋までどうにか運んだものの、とてもベッドまで上げられない。仕方ないからカーペットの上で汚れた服を脱がせにかかってみる。
 どうにか綴じてるスーツのボタンを外し、コートと一緒に脱がせてみる。すると袖口のボタンが外れていて両手首に縛られた跡が見えた。
「何だよ、これ………」
 思わずゴクンと生唾を飲み込んでしまったが、そうなると他にはないんだろうか……と興味も湧いてしまう。
 どうせ相手は気絶してるんだし、服を脱がせてやるのは正当な行動だと自分で自分に言い聞かせると、スラックスに手をかける。ジッパーも半分開いている状態で、中から下着が見えているのだが、それはどう見ても汚れていた。
「これは……」
 精液……だよな。
 ふだん綺麗好きな兄からは信じられないことだけど、だからなのか笑えてくる。僕は口元に笑みをこぼしながら、兄さんの脚からスラックスを引き抜くと下半身を眺めた。足の裏が汚れた靴下。前が汚れた下着は後ろも半分ほど尻が出ていた。高級なワイシャツも所々擦れたような汚れがついていて、ブランド物のネクタイは見る影もないほど皺くちゃだ。それにネクタイのもっと奥。首元にも擦れたような跡がある。
 両手首と首を縛られてたのか。無様だな……。
 思わず喉の奥から出るような声で「クククッ…」と笑っていた。
 相手に跨がって身を屈めるとワイシャツを脱がせにかかる。もう前のボタンもいくつか飛んでしまっているので、嵌まっているのは二つか三つくらいなのだが、それを外さなければワイシャツは脱がすに脱がせられない。そこに手をかけると、僕の指が冷たかったのか、兄さんの体がビクッとしてうっすらと虚ろに目を開けた。
「ぁ……あ…あ………っ…………」
「どうしたんだよ」
「ぅ…ぅぅ……………」
 下から見てくる彼の顔が脅えている。僕の顔は、言葉とは反対に笑っていた。
「も…もぅ許して………っ………」
「………」
 完全に誰かと勘違いしている。だけどそれは僕を優位に変える。
 どうしてくれようか……。
 考えたが、それも一瞬でしかなかった。僕は兄に跨がったまま身を起こすと腕組みをして相手を見下ろした。
「誰に何をされたの?」
「……………ぁ…………………つ…づら……?」
「誰に何をされたと聞いているんだ。話せ」
「ぅ……………」
 顔を曇らせて何を口にしたらいいのかを考え出す兄さん。だけどその間を与えないように、僕は唐突に相手の股間を踏み付けた。
「あうっ…!! ぅぅっ……!!」
「聞いているだろっ?! 誰に何をされたっ?!」
「やめっ………ぅぅっ……!」
 グリグリと股間を踏み付けて答えを促す。すると兄は小さく唸りながら身を丸めて自らの股間をかばおうとした。だけど僕は足を外してやらなかった。逆にギュウギュウと踏み付ける足に力を込めた。すると兄さんの股間は、見事に変化してピクピクと動くのが伝わってきた。
「兄さん、マゾ?」
「ちがっ…」
「違うとは言わせないよっ。僕に踏み付けられて、こんなにモノを堅くしてっ。誰に何をされたの?! 早く答えろっ!」
「ぅぅぅ……………」
「じゃあ、まず『誰に』から行こうか。答えろ」
「………っ…」
「ここ数日帰って来なかったのは、そいつのせいだろ?」
「……」
「それともそいつら、なのかな? 早く教えないと、このこと警察に電話しちゃうよ?」
「まっ…待ってくれ。それは……っ……それだけはっ…………」
 それだけは困る。
 心底困ったように縋りついてくる兄に、僕はこの時、勝ったと思った。
「じゃあ、教えてよ。僕は今、この時点でここにいる以上、教えてもらう権利を持ってると思う。違う?」
 ニッコリとほほ笑みながら彼の前に座り込む。兄さんは解放された股間を手で覆い、顔を火照らせながら僕をすがるような眼差しで見つめてきた。
「か…いしゃの帰りに………知らない奴らに呼び止められて……………」
「何をされたの?」
「そ…れはっ………………」
「拉致されて何日もいたぶられていた」
「!!…」
「当たり?」
 ビックリした顔をする兄に、したり顔になる僕。そんなの、その格好を見れば誰だって分かるのに兄さんは愕然としていた。それがまた面白くて意地悪に拍車がかかる。
「男でもそんなことあるんだね。いいようにされて解放されたってわけ? 見苦しいよ」
「ぅ………」
「今もこんなに勃起させて」
「ぁ…」
「押さえようもないほど調教されてる」
「ぅぅ………」
「下着も。これ何回履いたまま射精したの?」
「ぅ…ぅぅっ…………………」
「どうせだから、そんなの脱いじゃって僕の前でしごいて見せてよ」
「そ…それはっ………」
「命令だよ。どうせしなくちゃ我慢出来ない体になっちゃってるんだろ?」
「くっ…………」
 少し悔しそうに、だけどそれこそが本意のように、兄さんは唇を噛み締めてしばらく俯いていたけれど、意を決したように下着を脱ぎ去った。
「ついでに汚れてる靴下も脱いで」
「……」
 ここまでしたのならついでに、と言う勢いで兄が靴下もかなぐり捨てる。
「シャツの前を自分で開いて」
「そっ…こまで……?!」
「同じだろ? どうせ、それもこれも僕に洗わせるくせに」
「……」
「早くして」
「っ……」
 いつもの兄じゃなかったから僕もここまで言えるんだけど、それにしても気弱になってる。そんな兄さんを初めて見た僕は、強制したい。けど、そこまでしていいんだろうか……と思いながら命令していた。
 躊躇しながらも結局いうことを聞く。兄さんが開いた素肌の胸にはテープの跡がくっきりと残されていた。
「何、そのテープの跡」
「こ……れは…………っ………」
「そこにも何か貼られてたんだよね。小型のバイブとか、そんなものかな……」
 腰を屈めてそこに指を這わせると、ビクッと兄の体が揺れた。
「っ…」
「腫れてるの? それとも感じてるの?」
「……」
「そういえば色が鮮やかだよね、ここ」
「ぅ……」
 キュッと摘まむと、また体を堅くして兄さんは堅く目を綴じた。
「ふぅん……」
 屈めていた腰を直すと彼を足蹴にする。
「なっ……にをっ………………!」
 床に倒れて不平を口にする兄を這わせると、シャツを捲って尻を見せるように強要した。
「やめっ……!」
「今の兄さんなら出来るだろ? むしろ見て欲しいって感じじゃないのかな」
「お…まえっ………」
 無理やり晒した尻の、その肉を両方に開くと、そこにはひくつく穴が晒される。
「ぁ…!」
「乳首に色々されたんなら、ここにも色々入れられたんだよね?」
「お前には………関係なっ……い……!」
 ようやく少し意識がはっきりしてきてのか、強い口調で出るものの尻を掴まれていては迫力はない。
「関係なくないよ。これからは多分、僕がこの体の面倒見てなかきゃならなくなるだろうからね」
「なっ…にを言って………」
「こんなに敏感になっちゃった体、まさか一人でどうにか出来るとか思ってないよね? これ、誰かに苛められないと勃起出来ないんじゃない?」
「そ…れは……………」
 意地悪く追求して答えを出させる。
 兄にしてみれば、部屋を出て行く時にはそんなこと微塵も考えていなかっただろう。それなのに今は…。そう思うと可哀想と言えば可哀想だが、これは現実だ。
 たぶん兄さんはもう、これから僕無しじゃ生きていけない。
 口元がねっとりとした優しさに包まれる。
「この尻の穴、面倒見てやるよ」
「! …」
「ただしそれは僕の本意じゃない。単に兄さんが哀れだと思うからだ」
「ど……どういう…こと…だっ……………」
「言葉のままだよ。僕は本来男好きなんかじゃない。だから兄さんじゃなきゃしてやらないよ、って意味でもある。どう?」
「どぅ…って…………」
「いい話だと思うよ? 兄さんは誰にも知られずに欲望を満たすことが出来る。僕はタダで楽しめる。いいと思わないか?」
 バシッと尻を叩くと、兄さんは小さく悲鳴を上げて前に突っ伏した。それでも尻だけは上がっているその股の間に後ろから手を差し入れると袋ごとモノを握り締める。
「あっ…! ぁぁ………っ………」
「早く答えを言えよ。早く言えば言うだけ、兄さんのケツの穴は満たされるよ?」
「んっ…! んん………ぁ………」
「言わないとずっとこのままだよ? して欲しい? それとも…」
「して…欲しい…………っ……!」
「…それは物を頼む時の言葉遣いじゃないよ、兄さん」
「ぁ……んっ…ん………………し…してくださっ……ぃ……!」
「お願いは?」
「お…お願い………しますっ……………!」
「しょうがないなぁ。でも、そんな言い方は最初だけだよ。次からはちゃんと通して言うこと。分かった?」
「は…はぃっ………!」
 後ろから袋ごと握ったモノを揉みしだきながら言い聞かせる。兄さんは意識してないだろうけど、腰を必死にくねらせて素直に返事をしていた。
「こういうことする時、僕のことなんて呼ぶか分かる?」
「あっ…ぁ…ぁ…………は…はぃっ……、ご主人様と………!」
「そう。僕は兄さんのご主人様だから……、ちゃんと言うことを聞くんだよ?」
「は…はぃ………!」
 答える声がどんどん甘ったるく変わっていく。僕は下種なジジイみたいに鼻息を粗くして兄さんの股ぐらから手を差し引いた。
「ぁ……………!」
 すごく名残惜しそうに声をあげた兄さんは、切なそうに僕を振り向いた。
「触って欲しい? 入れて欲しい? それとも嬲って欲しい?」
「ぁ………」
「言わなきゃ、やってあげないよ?」
「ぃ…………れてほしい………です………。お…願いしますっ………!」
「ふぅん。じゃあまず準備だね。見ててあげるから、自分で解してみて」
「ぇ……………」
「見ててあげるって言ってるだろ? 早くしなよ」
「ぁ……」
「うまく出来たら入れる前にしゃぶらせてあげるよ?」
「は…はぃ…………」
 おずおずと自分の指を口に含むと乾かない内に尻に差し込む彼を見て、笑みを絶やさぬまま腕組みをして相手を見下ろす。だけどやっぱり唾液だけでは補えきれないのも見て分かった。そのまま兄さんにはその行動を取らせてキッチンからオリーブオイルを持ってきた僕は、彼のそこに垂らしてみた。
「っ……」
「冷たい? でもすぐ良くなるはず。もっと指の数を増やして」
「は…はぃ………んっ…んん…………!」
 這いつくばったまま尻を掲げて両手で自らの穴の拡張に励む彼を見てると、もはや兄と言う気はなくなってきている。だって目の前にいるのは、性欲にまみれたただの男でしかないんだから。
 淫猥な音と兄さんの小さな喘ぎ声だけが室内に聞こえる。僕は自分自身にもう限界が近づいてきているのを感じてジッパーを降ろすと、自らのモノをしごきだした。
「もうそろそろだね。だけど僕も一度出しておかないと持ちそうもないよ。しゃぶって」
「ぁ………………………は…はぃ………」
 今まで自分のことにかまけていたせいで、言われても即座に反応が出来ない。兄さんはノロノロと体を起こすと僕の前に膝をついた。口先に勃起したモノを差し出してやると、迷うことなく口に含んで舌で転がし始める。なるべく我慢しようと思っても、やっぱり一度目は簡単に出てしまいそうだ。
「兄さんっ…うまいね。……す…ぐに出ちゃうから飲み込んで」
「んんっ…………」
 ドクッと音がする感じがして、精液が飛び出していく。それを口で受け止めた兄さんは、ゴクゴクと喉を鳴らして飲み干していった。それを見た僕は、これも随分調教されてるんだと知った。
 たった数日いなかっただけなのに……。
 嬉しいような、ちょっぴり悲しいような気持ちになる。
 兄さん………。
 射精が済んでからもしばらくしゃぶったまま離れようとしない兄に、そのままの姿勢で穴を解すことを命じた。
「兄さん、今までこんなこと、してなかったんじゃない?」
「ふっ…ぅぅっ…ぅ……」
「話す時には、おしゃぶり止めないと。何を喋ってるのか分からないよ?」
「ぁ…っ……ぁ……や…やってないっ……。だ…から…………やっても…やっても…………終わらないんだっ……ぁ…ぁ…っ……………」
 口元が汚れているのに、それを拭おうともしないで穴の拡張に励む。兄さんは勃起したモノから汁を滴らせながらも、それには触ろうとはしなかった。僕はそれを横目で見ながら下半身だけ洋服を脱ぐと、見せつけるようにモノをしごきだした。
「ぁ…………ぁ……………」
 口を開けたままだった彼が、舌を出して物欲しそうな声をだす。
「欲しいの?」
 コクコクとすぐさま首を縦に振る兄。だけどすぐにはやらない。兄さんの後ろに回った僕は、彼に覆いかぶさりながら両方の乳首を摘まんで揉んでやった。
「んんっ…ん………!」
「ここをこうして……射精出来たら入れてあげる」
「んっ…! ぁっ……ぁ…ぁぁっ………!」
 頭を左右に振りながら必死に欲望と戦っている。そんな兄さんの姿はすごく可愛いと思う。兄さんの背中に股間を押し当てながら、彼の乳首をこねくり回すと、音を立てそうなくらいコリコリになってる。僕はその乳首を触るだけじゃなくて口に含んでみたくなった。
「兄さん、お尻から指を抜いてこっち向いて」
「ぅ…………ぅ…ん…………」
 でもまだ言われたことが出来てない…………。
 情けない顔をした彼は、そんなことが言いたそうに僕を見てきた。
「兄さんのお乳吸いたいな。仰向けになって」
「ぅ…ぅん………」
 ポトポトと股間から汁を滴らせながら素直に言うことを聞く。上向きで寝ると股間だけがピクピクしていて脚がモジモジしている。
「触っちゃ駄目だからね」
「は…はぃ…………」
 きつく唇を噛み締めて我慢に我慢を重ねる。僕はわざと兄さんの脚を割って片方の脚に跨がると、そこにモノを押し付けながら乳首に顔を近づけた。
「ぁ! …ぁっ…んっ……………!」
「兄さんのココ、堅い蕾みたいだよね…」
「んっ! …ぁ………!」
「コリコリしてて…食いちぎってしまいたくなるくらい…」
「あっ…ゃ………! 痛っ…つ…づらっ………ぁ……」
「大丈夫。味わってるだけだから」
 片方の乳首を指で弄りながら、もう片方を舌で味わう。噛んだり吸ったり舐めたりして、敏感にさせてから、行為を左右入れ替える。
「どう…?」
「ぃ…ぃぃっ…! ……ぁ…ぁぁ……んっ! …ぅっ………!」
 コロコロとするソレを確かめながら時々ギュッと摘まんでやると、兄さんは電流が走ったように体を震わせる。それと同時にヒクついていたモノからも白濁の液を放っていた。
「ああ、射精したんだね。やっぱり兄さんは乳首が弱いんだ。ふぅん…だからこんなにテープの跡が執拗なんだ…」
「……ぅ…」
 それには何も言えないみたいだった。
 兄さんは凄く恥ずかしそうに俯くと、どうしていいのか分からない顔をして見せた。
「でも…本当にして欲しいのは緩んだ穴に栓、だよね?」
「……」
「いいよ。退いてあげるから、僕が入れれるように自分でちゃんと両脚を開いて」
「は…はぃ…」
 太ももに僕の先走りの汁をたっぷりとつけた兄さんは、僕がそこから退くと、尻の穴がよく見えるように自分で自分の両足を抱えて目一杯広げて見せた。
「こ…これで………いいですか………?」
「うん、いいよ。でも最初に決め事をしておかないとね」
「な…にを………?」
 困惑しながらも欲求している。兄さんはヒクつく秘所を僕に晒しながら、すごく困った顔をしていた。
「兄さんは、一歩家に入ったら僕の犬だから。帰ってきたらまず僕の前にひれ伏すこと。分かった?」
「わ……………かった……」
「違うよ、言葉遣いが」
「わ…かりました…………」
「それから、家の中では兄さんに服はいらないから」
「ぇ……」
「これから色々規制がかかるけど、これも兄さんのいやらしい体を満たすためだよ?」
「で…でもっ………」
「理性と快楽。兄さんは、どっちを取る?」
「ぁ…………」
「……どっち?」
 目の前で勃起したモノをしごいて見せると、兄さんはゴクリと生唾を飲み込んで躊躇せずに答えた。
「ぁ…後を…………」
 その顔は赤く、恥じらうと言うよりも我慢が限界まできていると物語っているようで、僕は余計ににっこりとほほ笑みながら口を開いた。
「分かった。じゃあ、今から満足させてあげるからね」
「ぅ…ぁ………はい。お…願いしますっ………!」
 腰を下ろして膝をつくと待ち侘びているソコにモノを押し当てる。そして少しづつ奥へと押し進めると兄さんの嬉しそうな戦慄きが聞こえた。
「ぁぁ………ぃぃ……! ぃぃですっ……ぅ…………! もっと………もっと奥まで…犯してくださっ……ぁ…………!」
「淫乱だな、兄さんは。でも僕にだって限界ってものがあるからね。兄さんをどこまで喜ばせてあげられるか分からないよっ」
「そ…それでもいいっ……。もっと………もっと奥まで犯してっ………!!」
 言われるままにズブズブと兄さんの中にモノを押し込む。
 兄さんの中は狭くて熱くて押し返しが激しくて…。それでも根元までグングン押し入れると、今度はようやく抜き差ししだす。
「ぃぃっ…ぁ…すごっ……ぁ…ぁ…ぁぁっ………! んっ……! んんっ……ぁ……」
 歓喜の表情でそんなことを言う兄さん。僕はそんな兄さんを初めて見るよ。でもこれからはずっと、こんな兄さんと一緒にいられるなら、それも悪くないかな……なんて思えてくる。
 兄さんをこんな風に変えてくれたどこかの誰か、本当にありがとう。これからは僕の天下だよ。
終わり 090215
タイトル「不浄な兄」