タイトル「腐った大人と無知な小人(こども)」

いわゆる「腐った大人」と言うのはどこにでもいると思う。
 そして「無知な子供」もどこにでもいるだろう。
 要はその程度問題であって、僕などの場合は一部腐っていると言ってもいい。
 それは何と言っても男なのに男が好きだからだ。
「いつから」とか「どうして」とか聞かないで欲しい。
 そんなことがはっきり答えられれば苦労はしてないんだから。

 僕の名前は琴鳴吉瀬(ことなり きつせ)。今年で三十になるパッとしない教師だ。
 自分でパッとしないと言うこともないだろうと思うかもしれないが、パッとしないものは誰が見てもパッとしないんだから仕方ない。

 教師だから、とりあえずスーツは着る。
 しかし髪は七三には分けてはいるが、後ろで縛るほどの長さがある。
 寒い日はそのまま垂らして学校に行くこともしばしばだ。
 だから一部の生徒からの冷たい視線や一部の保護者からの批判もあることはある。
 でもこれは自己主張とでも言おうか。
 元来あまり喋りもしない僕が出来る唯一の主張なのだと訴えることで現状を維持している現実がある。


 さて僕のことだが、
 現在気になって仕方ない生徒がいる。
 これは教師生活でもいまだかつてない出来事でもあったりする。

 腐った大人である僕は、無知な子供の聖域を汚してはならないんだと何度自分に言い聞かせたことだろう。
 だけどそんなことなど考えもしない自分もいて、そいつはただ無心に彼を欲する。
 それは人間としては在りかもしれないが、教師と言う今の立場からすれば絶対にNGな項目だったりもする。

 あー。僕はどうしたらいいのか……。

 自分で自分の行動に責任が持てなくなる瞬間…、と言うのを知っているだろうか。
 僕は今、もうすぐその瞬間を味わおうとしている……。
終わり
20131006
タイトル「腐った大人と無知な小人(こども)」