タイトル「徒然なる托鉢和尚-深水」昔話風

 昔々のお話です。
 とある 山奥に一軒の寺がありました。

 寺には美丈夫で若い和尚と、寺小僧と呼ばれる坊主が数人で暮らしておりました。
 和尚の名前は深水と言いました。落ちぶれた寺に数年前、都の命を受けて数人の寺小僧とともにやって参りました。
 彼が来た当時の寺は、前の住職が亡くなり、人も近寄らないほど酷く荒れた状態でしたが、それをあっと言う間に人の住める状態にしてしまいました。
 割れた瓦を差し替え、建具を補強し、障子を張り替えるそのさまは、村人が差し入れと称してわざわざ見物しに来るほどで、女たちは彼の働くその姿を見たくて差し入れを持って来たりもしました。
 年若い和尚は村人には珍しかったのかもしれません。その逞しい筋肉は見事なもので、野良仕事をする時などに見られる上半身裸は、男でさえ見惚れるものがあったほどです。
「これも日々生活していくためについた肉です」
 問われれば笑顔で和尚は言いましたが、その笑顔さえ眩しく、たちまち和尚は村になくてはならない存在にもなっていきました。
 寺は村人の住む村よりももう少し山に入ったところにありました。
 どちらかと言えば、寺から村を眺める感じになるよう位置付けられていると言ってもいいでしょう。
 和尚が来てから、毎朝鶏が鳴くころになると寺の鐘が鳴り響きます。それを合図に皆床から起き、野良仕事に出掛ける準備が出来るようになりました。鶏が早いか、寺の鐘が早いかと村人たちは囁きましたが、けして他意があるわけではありません。



 和尚は毎日、寺小僧を一人連れて村にやって来ます。
 そして一軒一軒托鉢をして日々の糧を得ておりました。村人たちはそんな和尚になにがしかの施しを与えなければ…と最初は困り果てましたが、和尚は村人の皆が皆裕福であるわけもないとも知っておりましたので、何も望みはしませんでした。
「私たちは毎日、皆様の笑顔を見るために托鉢をしているのです。苦しい時に施しをする必要はないのですよ?」
 それを聞いた村人は、和尚に手を合わせ「有り難や有り難や…」と繰り返しました。
「ほんに和尚様は、年も若いと言うのに出来たお人じゃ…」
「そんなことはありませぬ」
 和尚は笑顔でそう言うと、寺小僧を伴って陽が高くなるまで家々を回りました。
 働き盛りの村人は畑や田圃に出掛けていないので、相手はもっぱら子供や老人です。床に伏せていなければならない人や赤ん坊を背負ってあやす子守、あるいは働かなくても済む人たち。小さな村は陽が高くなってから回っても、お昼を取るころには終わってしまいます。
「さて、今日はこの辺で帰ろうか」
「はい」
 托鉢用のお椀を首から下げている袋にしまい込むと、山の寺に向かって歩きだします。
「和尚様。村人の言うように、毎日托鉢しても意味はないように思うのですが」
「……そうかな。私はそんなことはないと思うのだが」
「………私には和尚様のお気持ちが分かりませぬ」
「そうか。お前ももう少し大人になれば、村の人々の気持ちが分かるようになるやもしれぬな」
「………」
 小僧は和尚の言葉に返事をせずにブスっとしたまま歩きました。

 途中山道に入ると、和尚は左右を気にしだしました。あっちを見たりこっちを見たり、時には道から外れて山の中に入って行ってしまいます。
「和尚様。さっきから何をしているのですか?」
「うん? うん……お前も探しなさい」
「何をです?」
「茸だよ。今の季節なら探せばたくさんあるだろう。まだこの辺りは探してないのに気がついてね」
「………」
「ぅん? どうしたんだ?」
 だんまりを決め込んだ小僧に、和尚が笑顔で振り返ります。しかし小僧は唇を尖らせてその場に立ち尽くすばかりでした。
「もうすぐお寺です」
「……ああ…そうだが………?」
「和尚様は分かってらっしゃらない」
「何をだ」
「………私をお嫌いですか?」
「………」
「今日は私の番ですっ。寺の小僧はそれだけが楽しみですのに……」
「ぅ…ぅぅん………」
 今にも泣き出しそうになりながら見つめられると困り果ててしまう。と言うのも、寺の小僧は皆深水から与えられる施しのみを楽しみにしていたからだ。
 そう言われてもなぁ……。
 和尚は口を噤んだままポリポリと髪のない頭を掻いた。
「和尚様。……深水様……お願いですっ。私は今日してくださらないと、また一週間待たなければなりませぬ」
 切羽詰まった物言いをされると、つい仏心が顔を覗かせてしまいます。和尚自身はその気は全然なかったのですが、望まれればしないといけないかな…と徐々に自分をその気にさせていきます。
「…分かった分かった。…では、そこに横になりなさい」
「はいっ!」
 寺小僧は慢心の笑みを浮かべてそそくさと木の根元に横になると、和尚が来てくれるのを待っていた。
「まったくお前と言う奴は……」
「すみませぬ」
 口では謝っているが、けして悪いとは思っていない。その楽しみを与えてしまったのも己なのだから、きちんと責任を取らなければと言う使命感だけが深水を動かします。
 木の根元で手を広げて待っている寺小僧に覆いかぶさると、片膝を立てた脚の間に身を割り込ませます。相手の腕が首に巻き付いたかと思うと、ぐいっと引き寄せられました。
「お…っと……」
「深水様………」
 引き寄せられ耳元で名前を呼ばれながら、和尚は小僧の着物の合わせに手を忍ばせます。「ぁっ…ぁぁ…っ……」
 小さく開いた唇が、今から与えられる歓喜の喜びをあらわしていました。和尚は着物の中に差し入れた指を動かして、小僧の袋をそっと触ります。そしてもう勃起しかけているモノに手を這わせると先端に親指をあて、キュッと握りました。
「何だ、もう先走りの汁が出ているではないか」
「……深水様が茸などと言うものですからつい…私のモノかと想像してしまって……」
「初な奴……。己がモノと間違えるとは……」
「ぁっ……」
 グイッと親指を動かすと、小僧が身をよじりながら甘い声を漏らします。だんだんその気になってきた若い和尚は、相手の体が余すところなく見えるように腰の紐を解きパラリと着物の合わせを開きました。
 小僧たちは、元より下着をつけておりません。ですので、それがたちまち敷物になり小僧の裸体が晒け出されます。
 まだ薄い体毛に覆われた股間は見るからにしっとりと濡れ、恥じらうように擦り合わせられた太ももが柔らかさを強調させます。和尚はゴクリッと生唾を飲み込むと、彼の両方の脚を肩に担ぐようにして、その股間に顔を埋めました。
 クンッと匂いを嗅いでから、おもむろに袋を口に含み相手の玉を転がします。相手は身を捩り、背中を反らせたりしますが、口に含んだ玉を和尚は離しませんでした。
「ぁっ…! ぁぁっ………! ぁっ!……し…んすいさまっ……。そ……んなっ……! そこばかりではっ……! ぁっ…! あっ……!」
 小僧は言いますが、どんどんモノからは汁が流れてきます。和尚はいい気になって玉をしゃぶると、腹に、腰に、指を這わせました。
「ぁっ…ぁぁっ…ぁ……」
 反射的に小僧の手が自分のモノを触ろうとしますが、和尚はそれを許しませんでした。彼の手を払いのけ、代わりに自分がそれを握ると先端に爪を立てます。
「ぎゃっ! 痛っ…痛いです………痛い……」
「どうしてだか分かるだろう?」
「す…すみません……、普段から言われておりますのに……」
 ギュウギュウと爪を立てられ、涙をこぼしながら小僧は詫びを入れます。
 小僧が口にしたように、和尚は自慰を認めておりませんでした。だから皆一週間が待ち遠しいのですが、和尚はそれも計算づくです。相手が我慢出来ずに要求してくるのを楽しみにもしていたのでした。
 毎日毎日違う小僧が和尚に擦り寄って来ます。だから自分なりに趣向を凝らさないとこなせないと言ったほうが正しいのでしょう。和尚は爪を立てられてヒクついている小僧の玉をしゃぶり続けると、そのまま舌を秘所に這わせました。
 ヒクついているせいで小僧の蕾は収縮を繰り返し、和尚の舌をすんなりとは受付ません。仕方ないのでモノに爪を立てるのをやめると尻の肉を左右に大きく開き、しっかりと蕾に外気が触れるようにして舌を這わせました。
「ぁっ…ぁぁ…ぁ…」
 ペチョペチョとわざと音がするように舐めてやると、小僧のモノはすぐに勃ち上がります。悪戯をするように指を数本差し入れると中で開き、開いたそこに舌を差し込み唾液を流し込みました。
「ぅっ…ぅぅ……んっ………」
「もういいだろう。着物の上で四つん這いになりなさい」
「は…はぃ……」
 小僧が着物の袖を脱ぐのと、和尚が彼の脚を降ろすのは同時でした。一刻も早く言われた通りにしようとする小僧がいじらしいと言いましょうか……。
 小僧は顔をこちらに向けて四つん這いになりました。それを見た和尚は、自分の着物の合わせを開くと褌の中から自分のモノを取り出しました。四つん這いになったままの小僧は、顔だけを上げて和尚を伺います。
「和尚様……。和尚様のモノをしゃぶってもよろしいでしょうか……」
「……どのようにだ?」
「…口に含んで…舌で転がしながら味わいます」
「そうか。しかしあまりやり過ぎると、後ろの口では味わえなくなるぞ?」
「ぁ……はぃ。承知しております」
「ならばほれ、しっかりと味わいなさい」
「あ…りがとうございます…」
 言いながら舌を出して、差し出されたモノに吸い付いてきます。小僧の舌はチロチロと動き和尚を気持ち良くさせておりました。
「ぅ…ぅぅ……」
 小僧が苦しげな声をあげだします。それに気づいた和尚は慌ててモノを引き抜きました。「す…すみませ……」
 ゲホゲホッと咳き込みたいのを堪えて涙目になりながら言う小僧に、和尚は手を伸ばしその頭を撫でてやりました。
「お前の口には大き過ぎたな」
「そんなことは、ございませんっ。いつもはもっと上手に出来ますのに、何故か今日は……」
「気にするな。上の口では大き過ぎても、下の口なら大丈夫やもしれん。……試してみるか?」
「はっ…はいっ! 是非っ」
「では、後ろを向いて四つん這いになりなさい」
「はいっ」
 小僧は手の甲で口を拭うと、急いで尻を向けた格好で四つん這いになりました。そして自分の尻を左右に広げ、物乞いをするように彼を振り向きます。
「お…願いしますっ……。和尚様、淫らな私にお慰みを……」
「分かった」
 ヒクつく秘所をじっくり見つめることなく、和尚は自らのモノに手を添えると小僧のそこに押し当てます。そしてグイッと力良く中に埋め込み、ズズズッと奥へと進めました。
「うっ…ぁぁっ…! ぁっ! ぁっ! ぁぁっ……!」
「っぅ……」
 押し込む和尚が少しだけ顔を歪めます。
 受け入れている小僧も、その圧迫感に反射的に逃げ腰になってしまいます。押し込まれる力を利用して前へ前へと逃れるのを和尚は腰を捕まえて引き寄せました。
「ひっ…! ぃぃっ……」
「己が欲しいと言ったのだろう。っ…」
「ぅぅぅっ…ぅ……」
 思ってもいない勢いで入り込んできた和尚の熱い塊に、小僧の体が小刻みに震えます。しかし途中で止めることなど出来るわけもなく、和尚は根元までしっかりと肉棒を入れると、ようやくいったん動きを止めました。
「……キツいな」
「ぅ…ぅぅっ…ぁ…」
 何かを言いたいのに、それが言葉にならない。まさに小僧はそんな感じでした。
 さっきまで自らの尻を開いていた手は、今は地面を引っ掻いたまま止まっていますし、あんなに積極的だった顔付きも今は行きも絶え絶えなほど汗を吹き出しています。
 小僧もこのままでいるのは辛いでしょうが、和尚とて入れたモノが引きちぎれそうで辛いのです。だから相手の力が少しでも抜けるように、腰を掴んでいた手を股間に滑らせると、右手で小僧のモノを左手で袋を揉み始めました。
「ほれ、もっと力を抜くのだ。でないと快楽は味わえんぞ?」
「ぁ…ぁぁ………は…はぃ……っ…んっ…んんっ…」
 やんわりと袋を揉みしだきながらモノをギュッと握ったまま上下に動かし、持て余っている皮を下へ下へと剥いてやります。小僧のモノは和尚の手の中でピクピクと蠢き、だんだん元気になってきます。それに伴い解れてくる蕾に気を良くした和尚は、やっと注挿を繰り返します。
「ぁ…ぁ…ぁぁっ………」
 小僧の声も色っぽく変わってきて、さっきまで苦しげに震えていた肌はうっすらとピンク色に変わっています。玉の汗がその上を滑るさまは、思わずペロリと舌を這わせたくなるほどです。和尚は小僧に自分のモノを差し入れたまま相手を反転させると、上に覆いかぶさりました。
「あっ…ぁぁっ…くっ……ぅぅ…!」
「善いか?」
「ぁ…はぃ……。いいですっ……ぅ…」
 小僧の体は脚が胸についたまま和尚を受け入れています。
 和尚は今度は両手で小僧の乳首を弄び始めました。指先で摘まんでコロコロと転がしてから小さな実を押し潰します。そうすると小僧の体がのけ反り、震え、蕾が締まるからです。
「うっ! ぅぅ…!」
「善いだろう? 痛みと快楽が交互に来るのは」
「ぁ…ぁ…!」
「どうした。答えぬか」
「は…はぃっ。痛っ…! ぁ…! ぁぁっ…! お…しょ…さま……。も…もぅ…」
「出るのか。仕方ないな」
「ぅっ! ぅぅっ…ぁっ…!」
 片手を伸ばしモノを掴んでやると、そこから勢いよく多量の精液が飛び出してきます。和尚の手は見る見るクチュクチュと音が出るほどの精液で満たされました。
「ぐちょぐちょだ。お前は特に量が多いな」
「ぁ…ぁぁっ…んっ…んんっ…みませ……っ…ん……っ…」
「ほら、しっかり舐めて綺麗にしておくれ」
「は…はぃっ………ん……く…ぅぅ…ぅ…」
 しとどに濡れた手を小僧の前にかざすと、小僧はその手に舌を伸ばしペロペロクチュクチュと音を立てて舐め出しました。和尚はそれをさせながら注挿を繰り返します。
「もっと腰をくねらせて私を満足させておくれ」
「ふ…ぁぃ……」
 精液を舐めながら必死になって小僧は自らの腰をくねらせます。和尚は綺麗になってきた手を引っ込めると、体勢を変えて相手を自分の膝に乗せました。
「ううっ…ぁ…!」
 ズズズッと自分の体重がモノを受け入れている蕾にかかり小僧の顔が歪みます。
 それでも和尚は彼を抱くのを止めず、相手の腕を自分の首に回させると腰を掴んでゆっくりと回し始めました。
「うううっ…ぅ…ぅ…」
「もっとグチュグチュになるほど音をさせぬと、私は果てぬぞ?」
「は…はぃっ…。でもっ…ぅ……ぅ……」
 思わず顔を埋めて泣き言を吐きそうになる小僧ですが、和尚はそれを許しません。腰を掴んだまま下から突き上げたり、わざと腰を持って下に押し付けたりと小僧が和尚の上で木の葉のように震えて揺れます。
「ぅっ…ぅっ…ぅっ…!」
「んっ…! くっ!」
 何度かそれを繰り返すと、和尚自身が己の欲を我慢するのも限界に来ました。
 低く唸ると動きを止め、勢いよくドクドクッと小僧の中に精液を吐き出します。それはもう音のするほどで、受け止める小僧のほうが大変でした。
「ふぅぅ……。やっと今日のお勤めが終わったな」
「………ぅ……ぅ………」
 クラッと体が揺れたかと思うと、小僧は後ろに倒れて行ってしまいました。それを和尚はしっかり受け止めて抱き寄せます。
「おしょ……さま……」
「しばらく休め」
「………はぃ……」
 言いながら和尚は相手に埋め込んでいた男根を引き抜き、開いた着物の上に横たえてやりました。
 滑らかな裸体が着物の上に晒され、そよ風が陰部の毛を揺らします。小僧は目を閉じたまま荒い息を整えようと大きく息をして、己の体を抱き締めていました。
 立ち上がり身なりを整えた和尚は、その様を眺めてポリポリと頬をかきます。
 見事な裸体だ。
 寺にいる小僧は和尚の目から見ても揃って粒ぞろいの美少年です。年の頃合いから言って皆中性的なのですが、日々のおねだりだけはしっかりと意思表示してきます。
「………しかしなぁ」
 もちろん小僧たちにそうするように仕込んだのは和尚です。それが都の命なのですから。が、こうも忠実に小僧たちが求めてくると、本当に日々上げているお経のように「お勤め」になってしまいそうで怖いのです。
 いや、実はもうなっているのかもしれませんが、和尚自身は認めたくなかったのです。 この見事な裸体を一体づつ自分は毎日味わい、小僧たちは一週間に一度の自分の番を指折り数えて待つ。
 いつまで続くものかな……。
 苦笑いしたい気持ちを抑えて思うのは、「しょせん世の流れには逆らえぬ」と言うことです。彼らは、世の流れが違えば一国の長にもなれる生まれの者たちばかりなのです。しかし当の本人は、そのことを知らぬまま過ごしておりますが……。
 その方が幸せな場合とてあるからな…。
 都の主はけして仏心を出したのではありません。そんなことくらい和尚にも分かっていましたが、今は今。今が楽しければそれでいいのだと割り切りも肝心なのです。
「難しいものだな」
 フッと口元を緩めると、和尚は一人静かに山の中に消えて行きました。



 しばらくして小僧の元に戻って来た和尚の手には、いくつもの茸が握られていました。
「このくらいあれば今夜の飯には間に合うだろう」
「ぁ…すみませぬ、和尚様おひとりにそのようなことを……」
「気にするな。それより、もう歩けそうか?」
「ぁ…はぃ、たぶん……」
 ぐったりとした体を無理やり起こし、疲れているのに笑顔を作る。小僧のその健気さに和尚の顔が優しく緩みます。
「ではゆっくり帰るとするか」
「はい」
 そそくさと身支度をした小僧が、山道を登り始める和尚に続きます。
 寺までは、やっと半分来たところでしょうか。風も涼しくなってきました。明日も和尚は托鉢をしに村まで下りて来ます。また違う小僧を連れて。    終わり