東リベ-たいみつ第一弾-「先行告白両想い」

 男気がある男と言うものは三ツ谷のような奴だと最近思う。
太寿は今まで力こそが正義だと思って実行実践していたが、そうではないと彼が身を持って教えてくれた。

力は必ずしも正義ではない。

 だからそれ以降は弟や妹に手をあげることはなくなった。
それと同時に手を付けてしまった未知の扉がある。それは三ツ谷との関係だ。
力でねじ伏せるのは簡単だった。でもそうではない。

告白。

 この言葉がいかに重いのか、今回よく分かった。
「好きなんだが」
 そういうのが精一杯で次が続かなかった。
「……」
「おいっ、何とか言えよ!」
「うん」
「うん、じゃなくて」
「そんなにストレートに言ってもらえるなんて思ってなかったから嬉しいって言うか……困っちゃうよね」
「ぇ、困る⁉」
「うん」
「それって、嫌いってこと……なのか?」
「違う、逆。次に会った時、俺から好きって言おうと思ってたから、返事の用意がなくて困るってこと」
「そ、んなの……。イエスかノーかだろ」
「じゃ、イエスで」
「はっ! はははっ!」
 なんだか賭けに勝った時の気分のようだ。太寿は胸をそらせて快活に笑った。
「太寿」
「何だ?」
「俺は今、負けたような気分なんだけど」
「そんなことはない。俺たちは好き合ってるって今分かったばかりだ。愛し合おうぜ」
「また大胆な言葉をサラリと言うね」
「大胆か?」
「大胆だろ? 『愛し合う』なんて」
「でもすぐにそうなる。俺の家に来いっ!」
「えっ、ちょっ! 担ぐなって!」
 両想いに気を良くした太寿によって、めでたく三ツ谷は彼と結ばれるのでした。
終わり
タイトル・たいみつ「先行告白両想い」
20230824/26