タイトル「結局よく知るふたりの仲で」


 悟も私も街中じゃ一目置かれている存在だった。寮がある場所は田舎だから、そこから栄えている場所に行くと、とにかく目立った。悟の髪のせいだけじゃなく、私たちのガタイの良さからだ。日々鍛錬しているから普通の人とは違うんだろう。それは認める。だけど人並みに恋もしたいし恋もしたいし恋もしたい。
「あーーー、今日も女子寄って来ないな」
「悟。それを口にすると余計に誰も来ない気がするから言わないでくれないか」
 ふたりしてナンパ場所と呼ばれる駅前の壁に背をつけて物色すること一時間。女子どころか若い奴らがここを避けて通っている気がする。
「お前ら、いい加減に駄目っての認めろっ」
 買い物をしていたショーコが紙袋を押し付けながら説教してくる。
「だって俺らこんなにイイ男なのに、誰も寄って来ないなんておかしいだろう?」
「分かってないのはお前だよ」
「ん?」
「何回言っても分からないんだな。お前らは普通の女子じゃ手に追えないっての!」
「じゃあショーコ。相手してよ」
「選ぶ権利! もう、帰るよ!」



 今日も街に行ったけど、ショーコの荷物持ちで終わった。
「私たちって何なんだろう……」
「性欲は人並みってか、人一倍あるって言うのにな……」
「触るな」
「ぇ、いいじゃん。お前髪長いし」
「だからっていつも女子役は嫌だ」
「でも出したいだろ?」
「それは……」そうだけど…………。
 ひとりでするよりも気分が出るのは知ってるけど……、それでもいつもされる側ってのは納得いかない部分もある。
悟の部屋のベッドでふたりして慰め合う。日々そんな感じの行為が続いていた。
悟が後ろから抱きついてきて耳元を舐める。舐めながら股ぐらに手を伸ばしてきて部屋着であるスエットの中に入ってくる。お互いに出したい気持ちがあるから許せている。私・傑も半ばヤケになっているので悟を引き寄せるとその唇にキスをして押し倒した。
「やだ、傑君。積極的」
「そう?」
「うん」
「なら今日は私が入れさせて欲しいな」
「ぇ、やだぁ。僕、痛いのヤなんですぅっ」
「それは……私にならしてもいい、と言うことかな?」
「そうじゃないけど」
「いや、そういうことだろう?」
「ぅ、うーん……。そんなこと言う傑君嫌いっ」
「嫌いでもいいよ。たまには私も悟の中で果てたいと思うから、いいよね?」
「駄目」
「ぇ……?」
  言われたと同時に身を翻されて形勢逆転となっていた。つまり、組み敷いていたはずの私がいつの間にかいつも通りの位置にいたと言うわけだ。
「傑はさ、最初から女なんだから俺の言うこと聞いておけばいいんだよ」
「っ…………」
 有無を言わせない圧力でほほ笑まれ、結局はいつも通りされる側に回るしか選択肢はなかった。



「んっ……んんっ……ん…………」
「傑、もっと力を抜いて」
「そ……んなこと言ったって……っ……ぅぅっ…………ぅ」
 無理なものは無理な時ってあるだろう?
 私は今下半身剥かれて悟のモノをやっと根本まで入れたところだった。だけどちょっと早急過ぎて、どっちも悲鳴を上げているところでもある。
「引きちぎられそうなんだけどっ……」
「無理やり入れるからっ……ぁ……ぁぁっ…………」
 どうにかこの状況から脱しようと自分で自分のモノを慰めてみる。だけどソコの圧迫感が半端なくてどうしても意識がそっちに向いてしまった時、彼が私のモノを握り締めてしごきだした。
「ぇっ!? ……あっ」
「俺がしごいたほうがいいだろ?」
「あっ……ぁぁっ……ぁ」
「ほらっ……。ぁ、ちょっと緩くなった」
「そ……んなことっ……っ……ぅぅっ……ぅ」
「ホントだって」と言いながら腰が動きだす。そしてまた私は彼に翻弄される。そんなことは分かっていることだった。
「ふっ……ぅ……ぅぅっ……ぅ」
 何度も何度も腰を打ち付けられて、もっと奥に入らないかと突き上げられる。私は四つん這いになりながら彼と同じように、もっと奥に彼を感じたくて腰をくねらせていた。
「傑。お前はやっぱりそっちの方がイケてるよ」
「あっぁっぁっ……」
 別に意義はなかった。ただし相手は悟だけだ。誰が好き好んで尻に男を突っ込んで欲しいと思うか。この太さ、この長さ。いい加減の調子良さが私を狂わせる。
「悟っ……。悟ぅ……。悟ぅっ……ぅ……ぅぅっ……ぅ」
「はっ。なんて可愛いっ。甘く甘美な味わいっ……!」
「ぁっ……ぁ……ぁぁっ……ぁ」
 後ろから両の乳首を摘まれて抓られて潰されながら突き上げられる。ビクビクっと体が震えてモノから汁が滴り落ちる。後ろから首の付け根に歯を立てられて、その痛さにまた体が震える。
「どうよ」
「なっ……に?」
「俺の」
「ぇっ……?」
「お前だけだからっ」
「ぁっ……ぁ……ぁ」
「生身で突っ込めるのなんて、お前だけだからなっ」
「あああっ……ぁ」
 その言葉を聞いて私は射精していた。
 なんて背徳的な……言葉。
 私が孕めないから…………。
 私がけして彼の子供を生めないから成される行為に理不尽にもMAX感じてしまっている。
「悟っ……。悟っ……。悟……」
「何だ? キスか?」
 ふふふっ……と含み笑いをされて「お願いっ……」と涙目で懇願する。無理矢理振り向いて苦しい中舌を絡ませる。それがまた正解のような不正解のような不思議な感覚に包まれて揺れるモノを潰されるほどに握られる。
「ううっ……! ぅっ……ぅ」
 下の毛を毟られながら腰を捕まれて逃げられないまま中に嫌と言うほどたくさんの量を射精される。
「うううっ…ぅ!」
「ぁ…………ぁぁっ……ぁ」
 出されたからってすぐに引き抜かれるわけじゃない。悟は陰湿で執拗に私の体を確認し出すんだ。背中、首、頭皮からの耳たぶ。口の中に指を入れられて歯列を確かめられて耳の穴に舌を差し込まれ味わう行為をされる。
「ぅっ……ぅ……ぅ」
 言わば私は最強の男に宛がわれた孕まない且つ欲望を満たす器。お遊びにはちょうどいい肉体と自覚せずにはいられなかった。
 いつも側にいる。同調出来る性欲解消の器。そんな位置づけにいるのかもしれないと思う。
 何故私が彼と同学年だったか。
 何故私が彼を拒絶しないのか。
 何故私が彼を嫌いになれないのか。
 すべては仕組まれた歴史の狭間。
 彼が世継ぎを作るまで。または作った後も付き合うかもしれない。
「傑。今度はちゃんと向き合って入れさせて」
「えっ、まだ?」
「まだだよ。全然足りないっ」
「ぇぇぇっ…………」
 それから私は正常位・騎乗位・斜めからの挿入に付き合い、オマケにおしゃぶりまでしてようやく彼の欲望を満たした。
「傑ぅ……」
「なに」
「感謝……」
「ぅ……ぅん…………」
 最後にそんなことを言われてしまうと疲れていても簡単に許せてしまえる。
 ある意味、彼は呪霊より厄介な存在だ。目下私の恋人、悟と私・傑の話だ。
20210701
タイトル「結局よく知るふたりの仲で」