タイトル「飴玉転がし」

 研磨は最近ゲームをしながら棒つきの飴を舐めるのがマイブームとなっていた。
今日も部活が始まるまでの短い間、部室でゲームを楽しんでいるその時も丸い飴玉に棒がついているものを口に含んでいた。
「研磨、それ危なくないか?」
「何が?」
「その飴。棒ついてるじゃん」
「うん」
「もし後ろからドンってやられたりしたら……」
 それを想像してブルルッと体を震わせたのは、クロと同学年の夜久だった。
夜久はその棒が喉に突き刺さるのを恐れているのだと思ったが、そんなことにはならないだろうと甘くみていた研磨は「大丈夫」と返事をするとゲームに集中した。
「おい、後五分だぞ」
「分かってる」
 クロからタイムリミットをかけられると俄然頑張りを見せる研磨は、より集中してゲームをしだした。
「!」
「お前、それ口に含んでるだけだから」
 クロに飴を引っこ抜かれ目の前でしゃぶられる。しかしそれを怒っている暇は研磨にはなかった。後二分しかないからだ。
「甘いな」
「黙って」
「はいはい」
 その数分が経つと否応なく部活動に励まなければならない。そしてそれが終わると帰途に着く。

 その時になって部活前に飴を取られたのを思い出した研磨はちょっとムカついた。
一度ムカつくとそれがどんどんデカくなり、態度にも出る。
「研磨君?」
「……」
「怒ってる?」
「うん」
「何に対して?」
「飴に対して」
「それは……もしかして部活前に取った飴のことかな?」
「そう」
「あれは、お前にとってそんなに大切なものだったのか?」
「うんっ」
「ごめんっ。そんな大事なものとは思ってもみなかった」
「だったら代償払ってよ」
「ぇ……それってどういう…………」
「気持ち良くさせて」
「んっ?」
「クロは俺を気持ち良くさせてくれなきゃ駄目」
「?」
「疲れた体を癒すように、優しく俺を労って」
「ぉ、おうっ」
 それにはどうすればいいのか…………。首を傾げて考える。研磨はそんなクロの姿を見てクスクス笑うばかりだった。



 考えに考えたクロは結局いつも通り研磨と風呂に入り、部屋で宿題と予習復習をすると一緒のベッドで横になった。
「寝る?」
「寝るのは自分の部屋にして」
「……」
 じゃあ帰ろうかな……と思うが、それでは「気持ち良くさせて」はどこにもない。
「あのさ。労うとか、どういうことすればいいんだ?」
「俺がはっきり言わないと駄目なの?」
「……」
「抱いて」
「……」
「それともクロ、俺に抱かれる?」
「いやいや、ごめんっ」
 ようやく気付いてちょっと照れるクロにギュッと抱き着く。
「ばかっ。鈍いよっ」
「ごめんっ」
 クロが抱き着いている研磨の腰に手を回して引き寄せると唇を寄せる。
「んっ……んんっ、んっ」
「んっ……んっ……ん…………って!」
「な、なに…………?」
「一緒に舐めながらキスしたらどうなるのかなって思って」
「何を?」
「飴」
「飴? あの棒の付いたヤツか?」
 またそれを持ち出すつもりなのか? と戸惑うクロを横目に、バックから棒付きの飴玉を取り出すと包みを剥いて自分の目の前に持ってくる。そして飴を挟んだ向かいにいるクロに見せつけるように艶っぽく飴を舐めて見せた。
「これ……一緒に舐めて…………?」
「……お前……今からいやらしくてどうするっ」
「ばかっ。クロもそっちから舐めてよっ」
「分かった。こ、こうか…………?」
 ペロリと舐めたその舌が見えてから、その舌を絡めるように飴を舐めるふりをする。
「んっ!」
「ふふっ……」
「んんっ」
 いいから舐めろよ、とばかりに首根っこを捕まえると自分のほうに引き寄せてまたキスをしだす。
最初は戸惑っていたクロも研磨のやりたいことが分かったのか、微笑みながらそれに参戦した。
互いに抱き合い絡み合いながら甘い甘いご褒美をねだる。

 サワサワとクロの指先が研磨のスエットに侵入して素肌を味わいだす。
研磨は研磨でクロの股間に自分の股間を押し付けて早く早くと催促してくる。
要するにお互いがお互いを欲しているわけで、研磨としてはだんだん棒付きの飴が邪魔臭くなってきたので、そろそろ捨ててしおうかまと思って口から離すとサイドテーブルにあった飴を包んでいたプラ紙の上に乗せにかかった。
「それは、もういいのか?」
「うん。後でまた舐める」
「ふぅん」
 どちらも火がついてしまっている状態で、互いの服を脱がせにかかる。
まず上半身のスエットを脱がせると下半身は自ら脱ぐ。布団の中で絡み合って舌を弄り合う。
「んっ……んんっ……んっ」
「ふ……」
 舌先が首筋を這い研磨の乳首に到達すると、ソコを貪る。
「んっ」
「お前がコートの中で頑張る姿は、俺の誇りでもあるっていつも思ってる」
「ふふっ……そう?」
「ああ。ゲームしてる時より好きだよ」
「でもゲームしないと思考が鈍るんだ」
「分かってる。さすが、俺らの頭脳だよ」
「しゃぶって欲しいな。俺のキャンディ」
「ぇ……。もしかしてお前、その予行演習させてた?」
「そうじゃないけど。今思いついただけ」
「くそっ。じゃあ見てろよ。ちゃんと見てろ」
「うん」
 楽しみにしてる。



「んっ……んっ……んっ」
 チュプチュプとモノを口に含んでしゃぶる音がする。
研磨は大きく股を開いてクロを抱え込んでいた。
間に入ったクロは研磨のモノを口から離すと下から上へと、わざと見せつけるように舌を這わせる。
それを見ている研磨は喘ぎたいのを抑えて唇を噛みしめながらも笑って見せていた。
お互いに負けず嫌いなところがあるからギブアップはしない。
「あっ……んっ! んっ……んっ……ん」
「研磨のキャンディからトロトロしたの出てきたぜ」
「んんんっ」
「気持ちいいのか?」
「んっ」
「気持ちいいなら気持ちいいって言えよ?」
「……」
「気持ちいい?」
「……」
「気持ちいいだろ?」
「ううんっ」
「じゃあこの汁は何なんだよ」
「……」
「涎か?」
「……」
「汗か? それとも涙か?」
「……もぅぅっ!」
 意地悪言うなっ、とばかりにクロの頭をコンコン叩くと引き寄せる。
だけどクロはそれには従わずその汁を掬い取ると後ろへと塗りたくって指を突っ込んできた。
「あっ!」
「すんなり」
 いいだろ? と言う顔をされて頷くしかない。研磨は極力体の力を抜くと相手を迎え入れようとしていた。
差し込まれた指が内部を探る。
「んんっ……ん」
 最初は少ししか入ってないのに、探るごと奧に入ってくる。
研磨はクロに見られながら徐々に上り詰めていった。
「こういうの…………好きっ」
「どういうの?」
「クロに……っ……見られながらっての……俺、結構好きかも」
「そう。俺も研磨が変わって行くの見るのは結構好きかな」
「ふぅん。……んっ……ん」
「ここは? どう?」
「いいよ。……クロの指はエロいから……好き」
「研磨のその顔のほうがエロいと思うけどな」
「ふふっ……ぅ……んっ」
 指の数が増えて中を探られると自然と手が自分のモノを握ってはしごく。
「んっ……んっ……んっ……」
「研磨、舌出して」
「ぇ……。ぁ、うん……」
 言われるままに舌を出すと顔が近づいてきてキスをする。
「んっ……んんっ……ん。あっ……! ぁぁっ……んっ」
 ぐぐぐっと指がこれ以上ないほど奧まで入れられてキスしている唇が離れる。
「本物入れたいんだけど、もういい?」
「……たぶんね」
「じゃ、何かワード言って。誘うヤツ」
「ワード? 態度じゃなくて?」
「態度でもいいけど」
「ふんっ」
 ちょっと考えた研磨は、クロに尻を向けると自らの尻肉を開いた。
「……入れる?」
「お、おう!」
「ふふふっ」
 誘うのが好きな研磨はクロが鼻息荒く突進してくるのを力を抜きながらも身構えた。
勃起したモノが秘所に触ると汁を擦り付けてから突入してくる。
「うっ……! ぅぅっ……ぅ」
「キツいな……。苦しくないか?」
「くっ……るしいよっ……。でも、止めないで…………」
「分かった」
 お互いにキツいのは分かっている。けれどこの一瞬を通り越さないと快感は得られない。それをどちらも知っているからこそ、ここで止めはしないのだ。
「ちょっと休む?」
「このままっ……抜き差ししてっ…………」
「いいけど。……研磨君マゾっぽい」
「ばっか……」
 気持ち良くなりたいだろ? と目で訴えるとニッコリとされる。それから先は二人とも無言で気持ち良くなるのに没頭した。
「あっ、あっ、あっ…………」
「もっちょい……。俺、もっちょいでイくから」
「俺もっ……ぅっ……う」
 後ろから被い被さるようにして突き上げられると逃げ場をなくして体がヒクつく。
身震いしながら己のモノをしごくとすぐに出てしまいそうになるので、極力触らないように勤める。
だけど後ろからの突き上げに我慢出来なくて甘くてエロい声を出してしまう。
それがまた負けた気になってしまい自分で自分にムカついたりして、ちょっとムスッとしてしまうのだった。
「うううっ……うっ!」
「はっ……あんっ……! んっ……んっ……んっ……」
 まずクロが研磨の中に射精して、その勢いに感じた研磨がプルプルとモノを震わせて触らないままシーツに向けて射精する。
「あっ、あっ……ぁぁっ……ぁ」
「研磨君、シーツに粗相しましたね」
「……」
「いいよ。俺が始末するから」
「クロ。まだやるの?」
「もう一回くらいはしたいかな」
「だったら今からすぐして」
「無茶言うな」
「だって俺、このままヘタったら精液つくじゃん」
「自分のじゃん」
「自分のだって嫌だから」
「だったら俺がこのままお前を後ろ抱っこすればいいんじゃね?」
 研磨を入れたまま後ろから抱きつくと自分がシーツに腰を下ろす。
すると確かに研磨の腹には出した精液は当たらないが、モノに串刺しになった形になってこれはこれで感じてしまい複雑だった。
「うううっ」
「どう?」
「深いっ。動かないで」
「いいけど。でもこのままだとすぐには無理だからな」
「……じゃあ俺がクロに抱きついてズブズブ動くってのはどう?」
「……そんな大胆なこと、してくれるの?」
「どうせもう一回しなくちゃ気が済まないなら積極的になるよ」
「それは……嬉しいな」
「抜かずにそっち向けるかな」
「そこまでしなくても……」
「なら一回抜く」
 ズボッとモノを引き抜くと、もう一回入れようとして駄目なのを知って顔をしかめた。
「フニャチンじゃ入れられないっ」
「申し訳ない」
「どうしたら勃つ?」
「うーーん。研磨のエロい姿を見せてくれたら勃つかも」
「俺、今全裸。尻からは、お前の精液垂れてきてる。…………縛る?」
「ぇ?」
「俺を縛る? それともクロを縛る?」
「えっと…………」
 ジャンケンして結局はクロが縛られることに。
「ぇ、これアリ?」
「アリ。もう一回したいんだよね? だったら多少はバリエーション効かせないと」
「そうだけど…………」
 研磨は全裸なままベッドで胡座をかいているクロの首に制服のネクタイをした。そして彼に跨がりながらそれを引っ張ってキスをしたのだった。
「下僕は俺をもう一回満足させるために勃起するんだよ」
「下僕……」
「そ。クロは俺の下僕設定だから。首輪をつけて引っ張られると勃起するの」
「んな理不尽な……」
「それともチンコ踏んで欲しい?」
「ぇ、それも嫌だな……」
「じゃあもっとエロいこと言おうか」
「たとえば?」
「俺の体をこんなにしたてのは、クロだから。ちゃんと責任取ってよね」
「それはもちろん。生涯かけて」
「クロのチンコはさっきまで俺の中に入ってたわけだから、しゃぶってはやらないよ」
「それは……そうだな」
「……ああ。代わりに俺、さっきの飴を舐めるよ」
「え、飴?」
 そんなもので俺が勃起するのかよ。と半分信用してないように笑う。その顔を見た研磨は意地になってしまった。
 俺だってクロくらい勃たせてみせるっ!
 研磨は棒つきの飴玉をまずは舌先でペロペロ舐めるのを見せつけて、それからそれを自分の体に這わせた。
胸元から乳首をなぞり腹は臍の横を通って股間寸前で止まる。
でもその時になってもクロのモノはそのままの状態だったので、仕方なく研磨は次の手を打つことにした。
飴を手にしたままクロに跨がると股間に股間を擦り付ける。クロの首に巻き付けたネクタイを引っ張りながら飴を舐めキスをする。
「うっ……んっ……ん」
 キスをしながらおねだりするように腰をくねらせて相手を誘ってみる。すると擦りあわせている彼のモノがだんだん変化していくのが分かってほくそ笑む。
 こうしてると勝手に入りそうだけど……どうかな。
 ふふふっ……と声を出しそうになりながらもキスとネクタイを引っ張るのは止めない。
「んんっ……んっ」
「も……入る…………?」
「どうかな。入れてみる?」
「クロが入れたいならね」
 言いながら研磨は倒されてクロに被い被さられる。キスが上から降ってきて、それと同時にネクタイの引っ張る力も弱まった。
「ぁ……」
 体のラインをなぞられて尻肉を広げられると緩くなったソコへとすんなりと挿入される。ググッと奧まで入って来られて、そのいきなり具合に体がヒクつく。
「まっ……待って」
「奧まで入れたら?」
 それとも入れるのを? と聞かれて答えようとしたのだが、モノはもう奧までちゃんと入っていた。
「入ってるのに出ていくつもり?」
「いや。ちょっと聞いてみたくなっただけ」
「出し入れする?」
「優しく? 激しく?」
「最初は優しく、だんだん激しく」
「OK」
 チュッと唇を合わせてから脚を持ち上げられて体がふたつに折られるほど圧迫される。
「うっ……ううっ……ぅ」
「最初は優しく、ね」
「ぅんっ……。んっ……んんっ……ん」
「そしてだんだん激しく」
 ズルズルと出しては入れてを繰り返していたクロは研磨の腰をしっかりと掴むとガンガンモノを突き入れてきた。その動きに研磨は翻弄されて体を揺らす。
「あっ……ぁ……ぁっ」
「違うところ、突いてる?」
「ぅ……ぅんっ……。さっきとは違うトコっ……」
「気持ちいい?」
「クロは?」
「気持ちいいよ」
「なら、俺も。気持ちいい」
 ガンガン攻め立てられてクロに必死になってしがみつく。研磨は彼のモノが自分の中で一際デカくなるのをひたすら感じ続け快感を貪った。



「で、これはどうするつもりだ?」
「うーん……。取れない?」
「そりゃこのままじゃな」
「じゃあ切る?」
「いやいや。ハゲてるみたいになるから」
「じゃあどうするの?」
「これから風呂に入ってゆっくり溶かすしかないだろう」
「一緒に入る?」
「ひとりで取れるって言うんならひとりでどうぞ」
「……クロ意地悪」
「はいはい。じゃあ一緒に入れてください」
「いいよ」
 あまりに激しく交わったせいで、途中でどこかに行ってしまった飴玉は、研磨の後頭部。しかも上のほうにグシャグシャに絡まってくっついて見つかったのだった。
そのままにしておくわけにもいかず、かと言って切ったらとんでもないことになりそうだったので、ここはゆっくりと飴を溶かすのが一番いい方法だと、ふたりして風呂に入った。
シャンプーは後回しにして熱いシャワーを飴に当てるとすぐに小さくなって簡単に髪から離れてくれた。
「取れた」
「良かった……」
「研磨君、これからは飴禁止な」
「……」
「いい?」
「うん…………」
 とんだ結末となったが、研磨は懲りてはいなかった。もう頭は次に使えそうなものはないか考え出している。
「研磨君? ホントに分かってるかな?」
「うん。飴は止める」
「うーん……。根本的なことは分かってないみたいだね」
「大丈夫。次はもっといい感じの考えるから」
「純粋に楽しもうよ」
「俺、マンネリなのは嫌なだけ」
「マンネリ……」
「そ。マンネリ」
 ニッコリしながら研磨はそう言った。マンネリ打破。マンネリでも楽しいふたりの甘い生活はこれからも続くのだった。
終わり
タイトル「飴玉転がし」
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