タイトル「坊ちゃんに都合のいい家庭教師やってます」途中まで 試読

 義務教育を卒業するころになると、ある程度地位のある家系の男子には家庭教師が宛がわれる。
『書類は拝見しました。けれど最終的に直接あなたの口から聞きたいと思ってお呼びしました』
『はい。大切なご子息の今後にまつわる行為ですので、当然かと思います。何なりとご質問ください』
『病気は、大丈夫ね?』
『はい。月に一度検査は受けておりますので書類の通りでございます』
『性別的に「女」ではないのよね?』
『もちろんです。私は生まれた時から男ですので、万が一にも孕む心配はございません』
『そう。では質問を変えて。そのお顔は整形? 天然?』
『ぇ……。天然、ですけど……』
『年齢的に、性の対象は年上ですか? 年下ですか?』
『あまり考えたことはありません。その時ピンときた方としか……』
『ではもっと具体的に。ショタ好きですか? フケ好きですか?』
『だから』
『分かりました』
『……』
『今からあなたの主人になる方に会っていただきます。出来そうか否かを判断ください』
『わ……かりました』
 そして主人と会うこととなった。
彼の名前は菱池空也(ひしいけ そらや)。
今年十五になる中学三年の男子だった。
年の割には案外大柄で大人っぽく見える。そして紹介されたのは齢三十五にもなる少々人生に疲れた男でもあった。





「んっ……んっ……ん」
「……」
「あっ……! んっ! んっ! んっ!」
「九十九は感じやすいの? それともこれは誰でも同じ反応をするの?」
「あっ……ぁ……ぁぁっ……ぁ」
「もっと入る?」
「うううっ……んっ! んっ! んっ!」
 下半身だけを脱いで膝立ちで中腰の窓から上半身を晒して後ろから主人を受け入れている。
場所は主人の部屋だ。窓の外には広大な庭、と言うよりはただの森が広がっていた。
 男の名前は九十九紀彦(つくも のりひこ)。若く見えるが三十五歳。
その年になってもこうして体を使って稼がなくてはならないのは幸か不幸か。
九十九は要領さえ良ければ、どこぞのマダムのカモメや紐となって暮らしていけるほどの容姿を持ち得ていた。しかし顔の割にはおとなしく、言い寄ってくる人間の良し悪しが分からないからすぐに騙される。
良く言えばお人よしな男でもあった。
だから今回の仕事は相手が年下の、しかもご子息の家庭教師と言うことでいち早く手を上げた。
手をあげてしまってから教えるのは勉強じゃないと分かったが、今更引っ込みがつかないし、別に若い男の相手をして金がもらえるならいいかとも思ったくらいだ。しかしその目論見は甘かったとしか言いようがなかった。
 とにかく相手がサカリのついた猫みたいに終始求めてくるので体がキツイ。
たしなみを教えるとか、初体験がどうとかの類ではない。
ガッつき具合が半端ないのだ。だから彼が学校から帰って来るのが怖いくらいだ。

 九十九はこの広い家に住み込みと言う環境で暮らしていた。
メイドよりも格上、執事長と同等の扱いなので、部屋は客間の続きにある場所に与えられていた。
扱いはいいが、主人への奉仕でいつもヘロヘロしている。
それがまた周りからは色香が漂うとか妖艶だとか、言われてもあまり嬉しくない言葉を直接言われたりして返事に困るくらいだった。
「九十九、中に出すから」
「はっ……はぃっ……ぃっ……いっ……いいっ」
 ドクドクドクッと直接中に射精される。
それと同時に自分も触ってもいないモノから壁に放ってしまっていた。主人である空也は出してしまってからもなかなか出ていってくれなくて、後ろから持ち上げられるとそのままベッドに移動して栓をされながら次の勃起を待たされた。
「ぁ……あの……」
「抜かないから」
「ぇぇぇっ……」
「男って乳首感じるのかな」
 言いながら服の中に手を突っ込んで両方の乳首を摘ままれるとクニクニと揉まれだした。そうしながら突っ込んだモノを抜き差しして九十九を味わっているようだった。
「九十九っておじさんのくせにちんこも綺麗だし反応もいいし好きだよ」
「あっ……りがとぅございまっ……ぁ……んっ! んっ! んんっ!」
 キュッと乳首を潰されてビクビクッと体が揺れる。
「あ、締まりが良くなった。これ、いいね」
「ぇ……あっ! あっ! あっ!」
 ギュウギュウ乳首を潰されて抜き差しされると、彼のモノがドクンッと大きくなるのを肌で感じた。
 ああ、また……?
 気づいたら彼の上に跨るような形で後ろから乳首を攻められて股間のモノをしごいていた。
「九十九の汁……飲んでみたいかも」
「ぇ……ぁ……ぁ……ぁぁっ……」
「次、中に出したら飲むから」
「ぅっ……ぅ……ぅ」
 もう何度も出してしまっているので、はたして彼の望むような汁が出てくれるかどうかは分からなかった。
どっちかと言えば出来ない可能性のほうが強いと思えた。しっかりと腰を掴まれて下から容赦なく打ち付けられる。反射的にしごいてしまっているモノからはまた精液が垂れて解放が近いのが嫌でも分かる。
「出るっ……ぅっ!」
「ぁぁぁっ」
 彼の言葉と同時に九十九も達してしまいベッドへと倒れ込みそうになる。それを阻止するように抱き締められて首に顔を埋められると汗の匂いを嗅がれて意識が遠のいた。
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「ぁっ……」
 気が付くと主人である空也は勉強机で宿題なのか予習なのかをしていた。
「ああ。気が付いたか」
「す……みませ……」
「いい。もう少ししたら一緒に風呂に入ろう」
「ぇ、一緒に風呂……ですか?」
「ああ。隅々まで綺麗に洗ってやる」
「ぁ……りがとうございます……」
 と言うことは、また風呂場で相手をさせられるのだ。
身が持つだろうか……と危惧していると自分が紙オムツを履いているのに気付く。
「ぇ……?」
「ああ。尻から汁が垂れるとベッドが汚れるからな。神崎(執事長)に用意してもらった」
「……」
「後で脱がせてやるからおとなしく待ってろ」
「……はぃ」
 この場合異議は唱えられない。すべては業務内行為としてみなされるからだ。
この後九十九はオムツをしたまま床に立つと腹をギュッと押さえられて彼の放った精液を吐き出した。その時に出る音が普段は人には聞かせないであろうブリブリと下品な音で恥ずかしさに顔を高揚させた。でもそれは主人が気に入ったらしく今後も回数は増えそうだと感じる九十九だった。
「髪は伸ばさないのか?」
「ぇ……? その予定はございませんが……」
「柔らかい髪をしてるからきっと綺麗なんだろうな」
「……伸ばせとおっしゃるのなら伸ばしますが」
「まあ、それはお前に任せる」
「わ……かりました」
 別に髪の長さにこだわりがあるわけでもなく、伸ばした姿が見たいと言うのなら伸ばしてもいいかと思う。
九十九は洗面室まで肩を抱かれてどうにか歩くとそこでグッショリと重くなった紙オムツをビリビリと破かれ真っ裸で主人の服を脱がせにかかった。下半身は少し精液で汚れてはいたが、難なく脱がせられた。
それより先に上半身は彼のほうが背が高いので脱がせるのに多少の苦労もしている。主人はそれを楽しんでいるようで、時折揺れているモノに触ったり摘まんだりしてくるのを抵抗したいがそれは出来なかった。
 二人とも全裸になると手を引いて浴室に入る。椅子に座らされてシャワーを頭から浴びせられると石鹸を直に付けられてから素手で体を撫でられた。
「んっ……んっ……ん」
「何だ。また感じてるのか?」
「ぃ……いえ。そのようなことはっ……ぁ」
「感じてるな」
「……」
「お前の肌はスベスベしていて好きだ。体毛も薄いし、匂いも極めて少ない」
「ぁ……りがとうございます……」
「尻の具合もいつ入れても締め付けてくるようで、良く出来ている」
「はぃ……」
 体の次はシャンプーをされて立場が変わる。ドカッと椅子に腰かけた主人の体をされたのと同じように洗うとシャンプーも同様の処置を取った。するとそれが終わる頃には主人の体は立派に立ち直っていて内心落胆の溜息をつくが、表情には出さなかった。
「ジェルを持って来よう。少し待ってろ」
「はぃ……」
 ドアを開けて洗面所に一歩出ると片手で洗面下の扉を開けて歯磨き粉サイズのチューブを手に浴室に取って帰った。そして手を取られたかと思ったら抱きしめられて尻にチューブを塗られると指を最初から二本差し入れられた。
「うっ……ぅぅっ……ぅ」
「まだ元に戻ってはいないだろうがスムーズに事が運ぶようにな」
「はぃ……」
 ガバガバと差し入れた指を開かれると立っていられなくなる。なるべく体の力を抜いて受け入れ体勢を作る努力をするのだった。
風呂の淵を掴んで屈んだ状態で後ろから突き上げられる。主人は後ろからガッチリとホールドしながらするのが好みのようだ。時に片足を犬のようにあげられて変な体勢を取らされると中に突き上げられる位置が変わって善がり声をあげてしまう。主人はそれが聞きたくてやっている節もあるが、九十九はヘトヘトな体でこれをされるのは苦手だった。
「ふっ……ぅっ……ぅっ……ぅっ……」
「内壁を擦り上げられる感覚はどうだ? こういうの、好きだろ?」
「ぅっ……ぅっ……ぅぅっ……ぅ」
 萎えたモノと袋を握られるとギュッと力を入れられてビクビクッと体が震えた。トロリとモノから汁が垂れる。中からの刺激で単純に感じてしまい主人よりも先に射精してしまう。
「す……みませ……」
「別にいい。でもまだ俺が出てないから抜いてはやらないぞ」
「はぃ……」
 これから角度を変えてガンガン攻められると中で出される。出したモノを腹を押さえて吐き出しながら主人のモノを清めて喉の奥まで突っ込まれて嗚咽を漏らすとようやく終わりだった。



 九十九はガタガタの体を引きずって自室まで戻った。
一日酷使した体は部屋に戻るのが精一杯でベッドに倒れ込むと深い眠りにつく。そして目が覚めるとカーテンから太陽が差し込んでいて朝食の時間はとうに過ぎているのを教えてくれていた。
「ぁ……」 朝飯食いっぱぐれた……?
 でもまだ食欲もないからいいか……などと思っていると小さく控えめなノックの音がして部屋のドアが開いた。
「起きてらっしゃいますか?」
 入って来たのはワゴンを押した神崎だった。神崎には色々な世話をしてもらっている。実情を知る内部の数少ないひとりだった。
「また服のまま突っ伏して寝てしまわれたのですね」
「すみません。今起きました……」
「また色々されたのですか?」
「ええ、まあ」
「昨日は紙オムツの用意もしましたが、あれは使われました?」
「はい。知らぬ間に履かされてました……」
「まあ、主人の気遣いだと思ってください」
「あれ、案外恥ずかしいものですね」
「私も履いたことはございませんので何とも言えませんが……たぶん健常者には恥ずかしいのではないかと」
 ふふふっと笑いながらもワゴンの上に置かれた紅茶のポットを器に傾ける。
「一口お飲みになりませんか?」
「ええ。そうします」
 ありがとう、と身を起こそうとして体がうまく動かせないのに苦戦する。
「大丈夫ですよ。今起こして差し上げます」
 主人である空也はもう学校に行っている時間。九十九がゆっくり出来る時間でもあった。九十九は神崎に支えられゆっくりとベッドに腰かけると差し出された紅茶を一口すすった。
「おいしい……」
「サンドイッチもいかがですか? スコーンよりは喉を通ると思うのですが」
「ありがとうございます」
 色々なところで配慮してもらってると思う。その優しさについつい甘えてしまっているのも事実で、彼のフォローがなければこんなキツイ仕事はやってられないと思えるほどだ。
「食べたらお風呂に入ってください。その間に洗濯する物をまとめますから」
「はい」
 小さくBGM代わりにテレビが点けられると彼は浴室に消えていった。
この部屋はランクがいいので風呂もトイレも室内に設けられている。
他の使用人ではここまでいい部屋は与えられていないので好条件と言えばそうなのだが、それだけ意味があると言うことだと今更ながら思う。浴室からお湯を出す音が聞こえてくるのをサンドイッチを食べながら聞く。彼は自分が風呂に入っている間に洗濯物をランドリー係に渡して取って帰ってくる。そして九十九が風呂から出てくるのを待つと次の行為に進んだのだった。
 九十九は素肌にバスローブを纏って浴室から出てきた。
「お疲れ様です」
「……」
「さっ、横になってください」
「はぃ」
 言われるままにバスローブのままベッドに横たわるとスルリとその紐を解かれて素肌を晒す。神崎は上着を脱ぐと袖をまくり上げてベッドに上がり込むと馬油を両手に取って頬に押し当ててきた。それから顔全体を指で撫でると馬油を塗りこんでいく。顔が済めば首。首が終われば肩や胸にと移動していくのだった。腹や股間、腿や膝、足首や足の裏までまるでマッサージするように塗り込んでいく。表が終われば裏側も同様の処置をされて肌の状態を保たれた。いつも耳たぶや足の先まで優しく触られてとろけてしまいそうになるのだが、最後の最後でうつ伏せになったまま膝立ちになって尻を突き出す恰好をさせられる。
「お薬、中に塗り込みますね」
「はぃ……」
「今回は少し痛いかもしれませんが……すみません、我慢してください」
「分かってます」
「では、力を抜いて」
「はぃ」
 裂傷はどうにか免れているが、しっかりと赤くなってしまっている秘所にたっぷりと薬を塗られる。それは中にもちゃんと塗り込まれて、思わず下半身がガクガクしてしまうほどだった。
「ごめんなさい。感じますか?」
「す……みませんっ……」
「いいんですよ。でも治るまで、むやみに触っては駄目ですからね。これは空也様にも伝えておきます。あなたは玩具ではないのですから」
「はぃ。でもまた彼に望まれたら……」
「私からちゃんと言っておきますから大丈夫です」
 ピシッと言われて「はい」と返事をするしかなかった。
九十九にとって主人の言うことは絶対に等しい。
だから言われれば対応するしかないのだが、神崎いわく万全の体勢でなければするなと言うことなのだろう。
彼のメンテナンスはいつも完璧で九十九は彼になら何をされても許せてしまうのではないかと思えるほどだった。
すべての肌に馬油を塗られて傷ついた箇所に薬も塗られると再びバスローブを纏ってベッドに腰かける。そして鏡の前に腰かけると今度は髪を豚毛のブラシで丹念に梳かされた。
最初はそこまでしなくていいと言ったのだが、神崎は譲らず髪のメンテまでもされていた。
「そういえば主人から髪は伸ばさないのか? と聞かれました」
「そうですか。では少し伸ばされますか?」
「あまり頓着ないのでどっちでもいいんですが……」
「でも今のままがいい」
「まぁ……。なんか面倒な気がしないでもないような……」
「私はどちらでもお似合いな気がしますけどね。もう少し長くなったら綺麗に流れるように切って差し上げますよ?」
「ぇ……。神崎さん髪の毛もカット出来るんですか?」
「少し習った程度です」
 ふふふっと含み笑いをされてホントなのかな? と首を傾げる。
彼、神崎最一(かんざき もいち)は九十九と同年代なのかなと思ったのだが、それよりも少し若く二十七歳だと教えてもらった。
容姿もこの家の雇用審査対象なのだろうだろうか。黙っていれば普通にモデルと言っても通用するくらいいいルックスを持ち得ていた。黒いスーツがよく似合う。それがいつも完璧で、きっとメイドたちの憧れの的なんだろうなと思う。
九十九自身、あまり人と関わらないようにしている。どうしても聞かれると嘘がつけなくて態度に出てしまいそうだからだ。若主人の家庭教師と言う立場だが、勉強はもっぱら他の教師がやって、自分は主人が女を孕ませないための管理係。でもやっぱり体力的に年齢を考えると限界を感じたりする。
「触っても……いいですか?」
「ぁ、はい……」
 すべてが終わると彼の行為が始まる。それは塗った馬油が肌に染み込んでいるかどうかの確認だった。
鏡の前で座ったままバスローブを脱いで全裸になる。頭の先から脚の先まで、しっとりと指に吸い付く肌を確かめられる。彼は九十九を高級な調度品のように扱っているようだった。だからメンテナンスは念入りに。つまみ食いは、けしてしない。手の爪、脚の爪をヤスリで削り磨き上げられ、最後の最後に首の付け根に顔を埋められて匂いを嗅がれるとペロリと舐めるようなキスをされる。
「んっ……」
「はい、出来上がり。今日は一日おとなしくしていてくださいね」
「……ありがとうございます」
 彼が来てから帰るまで。優に二時間くらいは要していると思う。あっという間に昼食となってしまうのだが、昼食は頃合いを見てまた部屋に持ってきてくれるようなので、言われた通り一日ゆっくりしようと思った。
「ではまた。何かありましたら電話で連絡してください」
「分かりました。ありがとうございます」
「いえ」
 ワゴンを押して彼が去るのを見送る。そして部屋でひとりになるとスベスベになった自分の肌を見つめて悪い気はしなかった。
 今日は一日ゆっくり出来ると思うと洋服に着替える気も失せる。
九十九は素肌にバスローブのままベッドに潜り込むと瞼を綴じた。窓から差し込む光が少なくなってきているのは太陽が真上になってきているせいだ。
 フカフカなクイーンサイズのベッド。万全を尽くす執事によってメンテナンスされた体。無茶ぶりする若主人に付き合うための対価だと思えば大したことはなかった。
 心地いい……。
 深い眠りについていく。
 このまま……。
 起きたらまた朝になっているのではないかと思うほど深い眠りについた。しかしそれはそう感じただけで実際は数時間の出来事だった。サワサワと体を弄られている。
 ぇ……?
 何となくそんな感じがして眠りから覚める。九十九は朧げな瞳のままベッドで天井を見つめたが、同時に視界の端に人の姿を見た気がしてそちらに顔を向けると本当に人がいてビクッと体を揺らした。
「!」
「悪い。起こしたか」
「……空也様……」
「神崎には無理をさせるなと怒られたけど、どうしても顔が見たかった」
「……」
 その間もずっと素肌を触られている。
九十九はどうしたらいいのか分からなくて困った顔のまま彼を見つめた。それに気が付いた空也は「悪い」と謝りながらも手は止まらなかった。
「お前の体はいつも柔らかいな」
「……」
 それは神崎のメンテナンスがいいからだと口にしていいものかどうか迷う。ますます困った顔になった九十九に対し空也は布団に潜り込むとダイレクトに九十九のモノを口に頬張り舌を使って転がし始めた。
「あっ……! だっ……駄目ですっ。そんなっ」
「おとなしくしていろ」
「で……でもっ!」
 それ以上不服を言うのは許されず、空也によって精を吸われる。
「うっ! ……ぅぅぅっ……ぅ」
 本当にチュウチュウ、これ以上ないんじゃないかと言うほど吸い尽くされてやっと解放される。
布団から顔を出した空也は口元を拭いながら笑顔を見せてきた。
「尻が治るまで、このくらいは許せ」
「ぇ……」
「神崎から尻は駄目だと言われた。だから竿ならいいんだろ?」
「……」
 そういう意味ではないんだと思うのだが……。
 そう思いはしたが、余計な口は叩かないほうが賢明なのだなと察した九十九は口をパクパクさせたが、結局何も言わなかった。それを了承、または正解と取った空也が満面の笑みを見せる。
「明日は大丈夫か?」
「……分かりません……」
「明日も駄目なら、しゃぶり合うか?」
「……ぇ?」
「怖いからな、神崎は」
「……」そうなのか?
「明日、また来る。それまで養生しろ」
「あ……りがとうございます……」
 まるで逃げるように部屋を出て行った彼の後ろ姿を見送って、ボーッとしていると再びワゴンを押した神崎がノックをして部屋に入ってきた。
「ぁ、神崎さん……」
「そろそろお昼はどうですか?」
「あの今……」
 言おうとして留まる。
「どうされました?」
「いえ……」
「空也様ですか?」
「え? ……ぁ、はい……」
「あれほど駄目だと申しましたのに……。傷は酷くなっていませんか?」
「ぁ、それは大丈夫なんですけど……」
「お寂しいんですよ」
「ぇ?」
「どうやら空也様は、お小さい時から自立を余儀なくされていらしたようで。だから貴方にこだわるのではないかと。私の勝手な憶測ですが、そう思うのです」
「それはどういう……」
「私や貴方の思うよりもずっと、彼は立場をわきまえた言動を求められる。将来の当主と言うのは孤独との闘いなのかもしれませんね」
「……」
 彼が言いたいことが分かるような分からないような。九十九は答えが出ることはないのだろうな……と思いながらワゴンの食事を取ったのだった。

 神崎の提案で結局十分に体が治るまで空也の面会はNGとなった。
「九十九様には不自由かもしれませんが、外から鍵をかけさせていただきます。お食事は私が毎回お運びします。ですから中からはけして開けないでください。どなたがいらしても」
「……わ……かりました」
「いいですか?」
「はい」
 空也が来て「開けてくれ」と言われれば開けてしまうかもしれない。それをきつく阻止されてイエスと返事をするしかなかった。
 部屋にひとりでいると何もすることがない。ただただ横になってついているテレビの音を聞く。ネット環境は整っていた。だからスマホのひとつでも弄れば良かったのだが、する気になれなかった。
この仕事に就いてから誰とも連絡を取っていない。と言うよりも連絡するだけ価値のある人と繋がっていないのが現状なのだと知った。
「こんな仕事だしな」
 コロンと身を捩ると窓の外に何かがいたような気がして何度か瞬きをする。
「ん……?」
 九十九は今、頭を壁際にして片方を部屋に向かって、もう片方を窓に向かって置かれたベッドの上にいた。だから見た窓は腰窓でバルコニーは付いているが、それはあくまでも景観上付いているものだと思っていた。しかし。
「えっ!? 何? ちょっと待って。何してるんですかっ」
 窓の外にはガラスにへばり付いて室内を伺う空也がいたのだった。
試読終わり
タイトル「坊ちゃんに都合のいい家庭教師やってます」途中まで
20260117