タイトル「仮)ゴミ捨て場で美青年を拾ったモブの話」その4
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一季と一緒に住むようになって初めての休み。
それまで彼は自分の着ていた服とパジャマ代わりにしているスエットでどうにかしていた。
自分の着ていた服はともかく、パジャマのほうは丈が合っていなのが一目瞭然で、まるで兄が弟の服をどうにか着てますよ的な感じが否めなかった。
外に出ないからいいじゃないかと言われればそれまでだけど、丈の合ってないものは不釣り合いだし第一似合わないだろ?
と言うことで、今日は二人して服を買いに行くことにした。
「最低限のものしか買えないけど我慢しろよ」
「……こんな無駄な出費しないほうがいいんじゃない?」
「でも替えとか必要だろうし、手足がニョーンって出てるスエット姿って変だから」
「変なの?」
「うん、とっても。だから最低限の着るものを買いに行くよ」
「分かった……」
二人して駅前商店街までの道を歩く。彼のほうが木実よりも頭半分くらいはデカかったから歩幅も違うのか、何だか忙しない。
「早いんだけど」
「すんません」
「お前さ、女の子に対してもこういう無頓着なことやってんの? だったら嫌われるよ?」
「……俺、今まで彼女とかいたことないんで……」
「ぇ、そうなの? でも妹とか母親とか……って言いたくないか」
「すんません」
「いいけど。俺だって平均身長くらいあるんだからなっ。お前が大き過ぎるだけだから」
「はい。でも俺だってスーパーモデルほどはないし、いたって普通サイズだと思いますよ?」
「はいはい。分かりました。では、どうか俺の歩幅に合わせてください。でないと、俺が散歩されてる犬みたいに見えると思うから」
「そうですか?」
「ですよ、きっと」
「木実さんは考え過ぎだと思いますよ。誰もそんな風に見てないと思うし」
「俺がそう感じるんだから、そうなのっ」
「はい、すんません。俺のほうが犬でした」
もう一度「すんません」と言いながら肩に腕を回してくる。
「何これ」
「ぁ、二人三脚のノリで」
「……ぁ、そ」
ニコニコしながら言われると邪険に出来なくなる。
この日、二人は昼過ぎから服を調達しに出かけて下着や靴下・パジャマ代わりのスエットを調達しリユース店で普段着を買うと、ついでに夕食の食材も買って帰途に着いた。
電車にも乗らない近所周りの買い物だったが、それでも十分楽しかった。人と一緒にいると妙に和む。特に何故か彼といると落ち着く気がした木実だった。
四話終わり