タイトル ハイキュー!! 黒月からの月山じゃなくて山月 逢瀬の代償2 「答えはいつもそれが正解」
月島が黒尾と会って帰ってきてから、彼・月島の変化に気づいているのは山口だけだった。
ツッキーの様子がおかしい……。
服が汚れているせいで喧嘩したと言われていたけれど、月島は弁明もせずに浮ついた顔をしていたのを忘れはしない。
何かあったんだ……。
月島以外全員もう風呂には入っていた。だから彼ひとりだけ後から入って今出てきたところだ。
ちなみに月島と相部屋なのは山口だった。二人一部屋と言う体制はぐっすり眠れると好評だった。
そして彼とふたりきりになれるこの合宿は山口にとっても好きな部屋割りだったのだった。
廊下ではまだ他の部員たちが部屋を出入りして騒いでいる。
月島は静かになりたくて風呂から帰ってくるとカチッと部屋の鍵を締めてしまった。
タオルで濡れた髪を乾かしながら二段ベッドの下の段に腰掛ける。
山口は上段のベッドからその様子を見ていた。
「なに」
「ぇ……」
「何か言いたそうだね」
「……ツッキー、黒尾さんと何かあったの?」
「………………」
「何もないなら、いいんだけど……」
「あったよ」
「ぇ……」
「僕はあいつに抱かれた」
「えっ…………」
「意外、とか思う?」
「そ……んなことは…………」
「僕はお前を抱いているのに、何故あいつに抱かれるんだ……とか、思うだろ?」
「………………」
「降りて来いよ」
「……」
「早くっ!」
「!」
言われて即座に行動した。
ほとんど飛び降りるような感じで床に降りると彼の前に跪く。一気に距離が縮まって目の前に見える彼の顔を真正面から見るのが辛かった。
「誤解しないで欲しいんだが、僕はちゃんとお前を好きだよ」
「……」
「でも黒尾さんとの関係とはまた違った意味で好きなんだ」
「それはどういう…………」
「……」
「俺と黒尾さんとの差は何? 俺は……ツッキーの体のいい慰み者なの?」
「だから違うって言ってるだろ?」
「だってツッキーは……」
「お前は僕の……一番だから…………」
「じゃあ黒尾さんは?! 黒尾さんは何番なのっ?!」
「番号は……ないっ。ただし、お前よりは確実に下だからっ…………」
「ほんとに…………?」
「ああ」
「……ほんとだったら俺にもツッキー抱かせてよっ!」
「ぇ……」
「駄目っ?!」
「…………………………いいよ」
「ほんとに?」
「ああ」
○
それからはもう夢中だった。勢いでベッドに押し倒して抱きついて唇にむしゃぶりついた。
「ツッキー……ツッキー……ツッキー…………!」
「がっつくなっ。バカッ!」
「けどっ……!」
「慌てなくても大丈夫だ。僕は逃げやしないっ」
「ぅ、うん…………」
言われて赤っ恥をかいたことに気づく。山口は顔を真っ赤にしながらも月島を離そうとはしなかった。彼の着ているジャージを捲りあげながら胸を晒し乳首にしゃぶりつく。
「んっ……! ん……」
素肌の背に腕を回し、肩甲骨や腰のくびれを確かめるように触る。いつもなら触らせてももらえない場所も、これから触るんだ……と思うと昂ぶりは尋常ではなかった。
抱きついて乳首をしゃぶりながらだんだん下のほうへと移動していく。その間にも月島は感じているようで、小さく喘ぎながら体をくねらせていた。
感じてるっ…………。俺の舌で……。俺の指で……。
そう思うと凄く嬉しかった。いつもならされている側なのに、こうしてする側になってみると彼を支配しているような感覚になる。
いいのかな……と言う思いと、単純に嬉しい思いが一緒くたになって、何だか必死になって掴んでいないと彼がいなくなってしまうのではないかと言う気持ちになってしまった。
「ツッキー……ツッキー……ツッキー…………」
抱きしめながら何度も彼の名前を口走る。するとそっと頭を抱かれて脚を絡められた。
「するのか、しないのかはっきりしろよっ」
「ツッキー……」
見上げると「どうするんだ?」と言う目で見られて慌てて「するっ!」とまた行動を開始した。
「んっ……! んんっ……! んっ……」
「ツッキーのっ……。いつも俺の中に入ってるツッキーの…………」
固くなってきているモノを口に含んで丹念に味わう。味わいながら垂れた汁が後ろに流れるようにわざと口から漏らして指先で秘所に埋め込む。
「ふぅっ……ぅ……ぅぅっ……ぅ…………」
指を二本、根本までしっかり入れると中を探るように動かす。月島の腰のうねりがなめらかで思わずうっとりしてしまいそうになるのだが、ここで行為を止めると殴られそうなので必死に舌と指を動かす。
「やっ……まぐちっ…………、も……いいからっ…………入れて」
「はっ……はいっ…………!」
言われてガバッ! と顔をあげると指を引き抜いて自らの下半身を脱ぎ去りながら彼の脚を肩に担ぐ。触ってもいないのにガッチリ勃起していた山口のモノはすぐに入れられる状態で、月島の要望には対応出来る。ゴシゴシッとしごいて彼の秘所にモノをあてが
うと一呼吸して声を出す。
「いっ……入れますっ」
「いいから早くっ」
「……はいっ」
バカとか罵られないうちにさっさとしようと、あてがっていたモノを押し入れる。ググッと入れると少しの抵抗を伴いながら吸い込まれるような感じで入っていってしまう。
やけにすんなりと入るな……と思うと、そういえば先客がいたんだっけ……と思い出し、複雑な気持ちにもなる。だけど今彼としてるのは自分だし、それがなければこういう展開にはなってないんだから……と思い直すと素直に嬉しいとか思ってしまっていた。
山口は挿入したモノをしっかりと根本まで入れると、それからゆっくりと出し入れを開始した。腰を動かすたびに結合部から出る淫靡な音にクラクラしながら彼の中に自分を突き上げる。
「あっ……! ぁっ……あ……! んっ…………!」
「ツッキー……ツッキー……ツッキー…………!」
口走りながら腰を激しく振りまくる。それに振り回される月島を目の当たりに出来て山口は幸せの極みだった。
「ツッキーィィッ……!」
ほとんど叫びながら彼の中に果てたと言ってもいい。射精さえも彼の中に出せるなんて思ってもいなかった現実に「倒れてしまいそうだ……」と思いながらも止めることはけしてない。
「ぅっ……ぅ……ぅぅっ!」
果てても勢いが止まらない山口に、下にいた月島もさすがに我慢の限界がきた。いつまでも動きを止めない彼に向かって月島の手が伸びた。
「いい加減に……しろっ!」
バチンッ! と片頬を打たれて、続けざまにもう片頬も打たれてやっと腰の動きが止まった。
「ごめんツッキー……俺…………」
「いいから抜けっ。も……いいだろ?」
「ぅ……うん…………」
言われるまま素直にズルリッとモノを抜くと押しのけられる。ストンッとシーツの上に尻もちをつくと相手が起き上がるのを見つめていた。
ツッキー…………。
「あー、もう一回お風呂入りたいっ……。けどそんなことしたら絶対怪しまれるし……」
「……」
「山口、タオル濡らしてきて」
「ぇ……」
「体拭きたいからタオル濡らしてきて」
「あ、うん。分かった」
待っててツッキー。
反動をつけて勢いよくベッドから降りようとして上の板で頭を打ち付ける。
「痛ってて……」
頭を撫でながらもさっき着ていたジャージを身につけると自分のタオルを二本持って、それを濡らすために急いでトイレに走った。
蛇口を捻って冷たい水でタオルを濡らしながらも今自分に起きた奇跡を思い出す。
「鼻血が出そう……」
夢なんじゃないかと思うくらいの奇跡に思わず顔を洗いにかかる。何度も何度も手で顔に水を打つけてゴシゴシと洗うと、目の前の鏡で自分自身を見つめてみる。
「俺は今ツッキーと……」
顔が真っ赤になってしまうんじゃないかと思うともう一度顔を洗ってしまう。そんなことを何度も繰り返しているうちに、自分がどうしてここに来たのか気づくと慌ててタオルを絞って部屋へと戻った。
「ごめんツッキー」
「遅い、山口っ」
「うん。ごめんツッキー」
濡れたタオルを一本差し出すと、体を拭きにかかった彼の背中をもう一本のタオルで拭きにかかった。
「僕はいいから、自分の体を拭けよ」
「ぁ、うん。でも……」
「いいから自分の体を拭けっ」
「分かった」
邪険にされると気に留めてもらえてるんだと感じてしまう。そんなところが彼なのだと思いながら口の端が緩むのを隠して自分の体の汗を拭き取りにかかる。
背中を向けたままの月島を後ろから眺めていると、体を拭き終わったのか急に反転してこちらを見てきた。
「言っておくけど、さっきも言ったけど、…………黒尾さんは僕の一番じゃないからなっ!」
「ぇ……っと…………」
「だから悟れよっ! それ以上はもう言わないっ!!」
言ったらまた背を向けてしまった月島に、山口はその言葉の真意を考えて固まっていた。
「それってツッキー……」
「だから、もうそれ以上は言わないって言った!」
「あ、うん。分かったツッキー」
「……」
「……」
彼の耳が後ろから見てるだけでも赤くなっていくのを黙って見ていた山口だった。
終わり
20180827・0903
タイトル「答えはいつもそれが正解」