タイトル「標的な彼-番外編-」
「先輩今日の予定は? どこ回ります?」
「ぇ…な…んで?」
唐突に予定を聞いてきた二年後輩になる倉田隼人(くらた はやと)に、玉城心理(たまき しんり)は内心ドキッとしていた。
「今クライアントからキャンセルの連絡あったんで、僕体空いてるんです。何か手伝うことあったら」
「ねぇよ、ボケッ!」
口を出してきたのは一年後輩の卯木旺(うつき おう)だった。
「お前に聞いてないもんッ。ね、先輩」
心理の側にきてその腕を取った倉田に、露骨に嫌な顔をする卯木。だが卯木がそんな顔をするのは、倉田に対してと言うよりも心理には自分に対して向けられているような気がしていた。
「先輩、今日はどこ行く予定なんですか?」
「え……っと……午後…からリリクラントだけど……」
「ああ、上得意の。先輩あそこの仕事でお株上げましたもんね」
チラッと倉田が卯木を見るが、卯木はフンッと鼻であしらっていた。
「あいにくそれ、俺がブツ見繕った件ですからッ」
「分かってますよー。だーけど、結局それも話がまとまらなければただ頑張ったねで終わり。締めは先輩がクライアントから契約取ってきて初めて成立ってことだから、それあんたじゃなくても大丈夫ですから」
「なにお〜ッ!」
「ちょッ…いい加減にしろってば。もぅ……いつもいつも…」
二人の間に割って入った心理は、どちらもどちらだと思っているので半分諦めがちな顔をして彼らを見た。
「何でそんなにいがみ合うんだ」
「………そんなの知りませんよ。こいつが何かにつけてイラつくようなことをほざくからッ。後輩のくせにッ」
「ひとつしか違わないのに、妙に偉そうなところが鼻につくんですよッ」
「あぁ?!」
「それにあんた、先輩に引っ付き過ぎだしッ!!」
「それ、お前だろッ?! 金魚のフンみたいに先輩先輩って!」
「いいのッ! 僕はいいんですッ。新入社員ですからッ! でーも僕より先輩の卯木さんがそんなことしてちゃね…」
「……このクソがッ!!」
ヴーヴー言い合っていると、見かねた部長が口を挟んできた。
「卯木、ちょっと来い」
「ぇ…何で俺だけ…」
「いいから来いッ!」
「………はぃ」
「それから倉田」
「はい…」
「お前は貯蔵庫に行って荷物の整理だ。行けッ」
「……はぃ」
渋々と二人は言われた通り動き出す。その場に残った心理は、軽くため息をつくと自分の席についた。
倉田もそろそろどちらを取るか決めてもいいと思うんだけどな…。
心理は外部に向けての営業をしているが、卯木は取り付けサイドの営業だった。
そんなに大きな会社ではないから同じ部屋にいるが、新入社員の倉田はまだどっち付かずの状態で今まできてしまっている。
彼がこっちに来たら、もちろん営業を回るのもしばらくは心理が連れて行かなければならなくたるだろう。
別にそれを嫌がっているのではない。心理は彼に倉田を会わせるのが怖かったのだ。
彼…。それは上得意のホテル・リリクラント総マネージャーである大森巧(おおもり たくみ)だった。上品で、そつがなく客扱いのうまい男。だが心理には別の一面を見せていた。それを倉田にも見せたらどうしよう……と言うのが一抹の不安だった。
出来れば倉田には卯木のいる部署に回って欲しい。
そんなことを思うとまるで彼を取られたくないと思われそうだが、心理自身彼を取られたくないのか、それとも自分と同じ目に会わせたくないのかがよく分かっていなかった。
■
午前中に書類の整理をして、相手側の指定の時間に合わせて会社を出る。
今日はリリクラントに出掛けるだけだったから、あまり時間を気にすることなく動けそうだ。
「リリクラントに行ってきます」
「ああ。ぁ…玉城君」
「はい」
部長に声をかけて出掛けようとすると、ふいに呼び止められた。珍しいことだ。心理は部長の机まで引き返すと「何でしょう」と小首を傾げた。
「倉田君のことなんだが」
「…ぁ、はい」
「君はどっちがいいと思うかね」
「………まずは本人の希望を聞いてからのほうが賢明だとは思いますが……どっちにしても卯木を教育係にすることだけはやめたほうがいいでしょうね」
「だな。しかし君のいるほうへ行かせれば卯木が荒れるだろうし……まったく迷うよ」
「………そう…ですね。こればかりはどっちに転んでも、多少の波風は立つものとして考えたほうがいいかと」
「だな。いや、悪い。時間がないところを。いいから行ってくれ。また考える」
「………じゃあ、行ってきます」
「ああ、頼んだぞ」
「はい」
悩みに悩む部長を尻目に部署を出る。部長もまた心理とは少し意味が違うかもしれないが、あの二人のことで悩んでいるのは一緒だった。
■
「ええ。今月も奥様の意向に合うようにセッティングさせていただきます。………飛天の間でよろしいですか? ……ええ。では、また人数が分かりましたら……ええ。よろしくお願いいたします。……失礼します」
ピッと電話を切った大森は、机の下を覗き込んだ。
「なかなか終わらないな。それとも終わらせたくないのか?」
「ぅ…ぅぅ……」
机の下には大森の股の間に座り込んでいる心理がいた。
彼はワイシャツにネクタイはしているものの、後は靴下と靴しか身につけていない。賢明に大森の勃起したモノを咥え、奉仕している最中だった。
大森は片方だけ靴を脱ぎ、心理の太ももに足を這わせている。
心理は始めに彼に言われたように秘所に忍ばせたバイブにスイッチを入れ、自分のモノに触れないまま彼のモノに手を添え口にほお張っていた。
自分のモノから汁を垂らし、いつの間にか腰をくねらせる。そしてそれを指摘されると恥ずかしくて仕方ないのに、余計に体が反応してしまうのも隠せなかった。
「もういいだろう。放せ」
「ぁ…」
しゃぶっていたモノが糸を引いて抜かれていくのを名残惜しそうに見つめてしまう。
「中に入っているモノを抜いて私の上に来い」
「ぇ…」
「私はまだ大丈夫だが、そんなに汁を垂らしていては、お前のほうが持たないだろう」
「ぁ…は…はぃ………」
皮肉を言われて思わず顔が赤くなる。
心理は俯きながら下唇を噛むと、躊躇しながらも秘所に入れたバイブを引き抜いた。ズルリとそれを引き抜くと、秘所が外気に触れてブルリと身震いする。
何もなくなった物足りなさに、目の前に見える生身のモノを入れたい欲望に駆られた心理は、恥ずかしさを感じながらも大森に抱き着くように跨がった。
「ぅ…」
うまくモノを秘所に入れられないもどかしさに半分泣き顔になる。それを見かねた大森が自分のモノに手をあてがって導いてきた。
「貪るな」
「す…みませ…」
言いながらも必死になって秘所にモノを突っ込もうと賢明になる。
「ぁ…ぅぅっ……んッ……」
ズズズッと内壁を彼のモノが触り奥へ奥へと突き進んで行く。
「ううぅッ……!」
心理は顔をしかめながらも、もっと快感を得ようと身を沈めた。
「ぁぁぁ……ッ……」
彼のモノを全部埋め込むと、自分の重みで重圧感が広がる。心理は全身にうっすらと汗をかきながら荒い息を吐き、それを整えようとしていた。
「ふっ………。お前のそういうところが好きだな」
「………ぇ………」
何が? と問いたくても言葉にならない。不思議な顔をして口を開きかけたのだが、それより大森の言葉が早かった。
「苦痛に満ちているくせに快感を貪りたがる。私が言わなくとも落ち着けば腰を動かすお前が好きだ」
「ぁ…………ぁぁ……」
そう…なんだ………。
彼の望む通り、心理は落ち着くとゆっくり腰を動かし始めた。彼の首に手を回し、肩に顔を埋めながら彼が喜ぶように腰を動かす。最初はゆっくりと、そして徐々に早く…。
「ぁッ…ぁッ…あぁッ……!」
先走りの汁がどんどん垂れ、今にも勢いよく精液が飛び散る気がする。
「もッ…もぅ……ッ……! ぅッ…!!」
とっさに彼の手が心理のモノを握り締め、飛び散るはずの精液を受け止めた。
「ぁッ…! ああぁッ…!!」
ドクドクッと彼の手の中で心理のモノは弾けていた。
指の間から白濁色の液がじゅるじゅると出てくるのが嫌でも分かる。心理は彼に握られて必要以上に感じてしまい、いつもより大量の精液を吐き出していた。
「す……みませ……。ごめんなさ……」
恥ずかしくてみっともなくてポロポロと涙を流しながら彼に謝る。
しかし彼は「いいんだよ、そんなこと」とは言ってくれるはずもなく、触っていないほうの手でバシッと頬を打たれて射精した自分のモノを舐めるように言われた。
「一本一本ぬめりがなくなるまで綺麗に舐めろ」
「は…はぃッ…。ぅ……ぅぅ…ぅ…」
かざされた手を一本一本精液が垂れる前に舐め始める。彼は心理の頬を打った手で跨がっている太ももを撫でながら厳しい口調で言い放った。
「誰が腰を休めてもいいと言ったんだ。腰を動かしながら指を舐めろ」
「す…すみませ……」
慌てて腰をくねらせ必死になって彼の手のひらを舐める。
自分の精液を舐めるなんて…と嫌悪する人もいるだろうが、心理は彼に言われれば何でもやるしかないと決めつけていたので、何も感じずに自分の放ったモノを舐めていた。
「ぅ…ぅ…ぅぅッ……。あ…りがとう…ございます……。ぜ…んぶ綺麗に清めま…した……」
「本当にな。お前のせいで洋服が汚れるところだった」
「すみませ…ん……。っ…ん……ん……」
「もっと腰を振れ」
「は…はぃ……っ……ぁ…ぁぁ……んっ……ん…」
「仕方ないな…」
心理の腰の振り方が不満だったのか、大森は心理の腰に手を添えると下に押さえつけながら腰を回し、自らも下から突き上げてきた。
「ああッ…! あっ…あ…ぁぁ……んッ……!!」
唐突にそんなことをされて逃げるに逃げられない心理はブルブルと体を震わせながら身悶えた。二人の間で潰れながら心理のモノがピクピクと動く。
「汁を垂らすな」
「ぁ…ぁぁ…は…はぃ…でも……っ……ぅ…ぅぅ……」
我慢しても我慢しきれないものだってある。心理は今さっき出したばかりだと言うのに、垂れてきてしまう汁を防ぐのに、ヒクつく自分のモノを片手で握り締めるしかなかった。
「す…みませ……握らないと…あなたの服に…っ……」
「…仕方ないな。しっかりと漏れないように握ってろ」
「は…はぃ…。っ……ぅ…ぅ……」
下からの突き上げと、上からの押さえ付けに我慢出来ずに心理は彼の肩に顔を埋めながら涙を流した。
「くっ…っ…!」
「ぁ…ぁぁ……」
一瞬彼の動きが止まり、心理の中にドクドクッと精液が注がれる。それを体で感じながら一滴も残さずに受け止めるようにグイッと上から押さえ付けられる。心理はギュッと尻に力を入れながら彼の放ったモノを漏らさないように務めた。
すべてを出し終えた彼はすっきりしたのか、自分の上にいる心理を引き剥がすように押しのけ床に転がした。
「さっさと栓をしろ」
「は…はぃ…」
慌てて床に転がっているバイブを拾うと、来た時と同じように秘所にバイブを埋め込む。
「社に帰るまで栓を抜くな」
「は…はぃ。ありがとう…ございます……」
股間に手をやりながら情けない顔をして頭をさげる。大森は身支度を整えながらそんな心理の格好を見下ろすとニヤリと口元を緩めた。
「今度は、その節操のないお前のモノを十分苛めてやれるだけの時間を作ってやる」
「ぁ…りがとうございます……」
目を細めて言われるとキュッと太ももに力が入ってしまう。
大森は時計を見ると予約確認の連絡をするためにデスクの電話に手を伸ばし再び椅子に腰掛けた。今度は股の間に誰も入れる気はないらしい。目だけが正面の下半身裸でいる心理を見つめている。
「お世話になります、リリクラントの大森です」
「ぁ…」
急がなきゃ…。
それを見た心理は散らかっている自分の服をかき寄せると自分も身支度を開始した。
最後に締めているネクタイを手で触ってキチンとしているかどうか確かめると、電話をしている大森の前に一枚の書類を差し出した。
「ええ。…で、キャンセルの方は………そうですか、では人数はそのままで……」
電話の相手と話しながら差し出された書類に目を落とした大森は、引き出しから一枚の書類を差し出すと心理の書類を受け取る。
「ええ。では食事のほうはどうされますか? 種類の変更などは……」
ボールペンでいつでも書き込めるようにメモ帳をつつきながら返事を待つ。そして目では心理の書類を上から下まで一通り見て頷いた。それを確認した心理は一礼すると部屋を後にする。
本来ならこれで事は足りるのだが、週一度の取り次ぎには必ず彼を受け入れている。
優しくなど扱ってもらえないのに、それでも大森の隠れた優しさを知る心理はつい体を開いてしまっていた。
「ぁ、ご苦労様です」
「どうも…」
廊下に出ると、通りかかったホテルの従業員と何げない挨拶を交わす。歩きだす心理の体はまだ火照りを残し、余韻に浸りたい気分十分だった。
「ふぅ…」
きっちりと締めたネクタイを少し緩めると、俯き加減で歩きだす。
車に乗り込んで自分の会社まで言われた通り我慢出来るかが勝負だったが、それを彼は楽しんでいるのだろう。
自ら見ることなど出来るはずもないのだから律義に守らなくてもいいのに、心理はちゃんと彼との約束を守っていた。
それが自分にとって快感になってしまっているのもだんだん自覚している。
「まるでマゾだな」
彼ならきっとそういうだろう。
声に出すと余計そんな気分になる。
リリクラントに行く時は、彼がすぐに行為が出来るように朝から秘所にバイブを突っ込み、それが出て来ないようにサイズの小さな下着をつけて無理やり押さえ付ける。
する時は彼のことを極力気遣い、彼の洋服が汚れないようにし、彼が喜ぶように奉仕する。
次に会った時には何をされるのか…。そう考えることがまた自分を深みに嵌める。
こんなことばかりしていては帰れなくなる。元に戻れなくなることが最大の恐怖だったが、どこかでもう戻れないのだろう…とも思っている。
「どうしてこんなになっちゃったんだろう…」
車を運転しながら考えるが、流されるまま流されている心理には分からないだけだった。
■
会社にたどり着くともう部屋の明かりをつけなければならないほど時間が遅くなっていた。
心理は事務所に寄るよりも先に迷わずにトイレに急いだ。
冷や汗が額に浮かぶのを手で拭い、苦しいのに苦しそうな顔ひとつせずに帰宅する社員と挨拶をする。
「玉城さん、遅いですね」
「お先です」
「ああ…お疲れ」
ろくに返事も返せずに一番近いトイレに入ると、用を足してやっと体への負担が収まる。
「ふぅ……」
知らず知らずに出る安堵のため息に、思わず自分でも苦笑してしまう。
「さて、これから急いで書類を作ってっと………」
トイレから出て行こうとした時、ふいに入り口に影が差し行く手を遮られた。
「先輩」
「な…なんだよ……」
「まだあいつと続いてるんですか?」
立ち塞がってきたのは卯木だった。
廊下からの明かりで影になって相手の表情までははっきりと分からないが、口調からして不満たらたらと言った感じだ。
「お…まえには関係ない…だろ……?」
「………へぇ。関係ないんだ。俺ともしたくせに」
「あ…れはお前が……!」
「言い訳は見苦しいだけですよ。でも……俺も十分見苦しいですけどね」
「…」
「こうして先輩のこと未練がましく追いかけてるあたり、自分でもずいぶんみっともないと思ってますよ」
「……じゃあ…そこ、退けよ」
「嫌です」
「これ以上、俺に…構うな」
「嫌です。先輩が今まで何してたか知ってるから余計嫌ですね」
「っ………」
何をしていたのか。それを口に出して言われるのは恥ずかしくてたまらない。
そんな恥ずかしいことをしているのに、他人に言われるのは嫌だった。
向かい合ったまましばらく時間が過ぎる。
その間も卯木の後ろを帰宅する社員が数人通り過ぎて行った。
「退けよ」
意を決してグイッと相手を押しのけて出て行こうとすると、反対にその腕を取られて室内に押し込まれていた。
「ぁっ…」
勢いをつけて今さっき自分が入っていた個室に入れられると、鍵を閉められて無理やりキスをされる。
「ぅ…んんっ…」
抗おうとしても彼に腕を取られて片方しか自由にならない。心理はその手で彼の肩を押そうと努力するのだが、股の間に足を入れられグイグイ後ろに押されて、とうとうトイレの壁に押し付けられる。
「ぃ…嫌っ…」
「……」
顔を背けてようやく出した言葉も大声にならない。それはまだ社員が残っていて、「誰かに聞かれたら……」と思う考えが頭をかすめたからだ。
それをいいことに、卯木は無言で心理の体を撫で回す。
背中から腰を触り尻を両方の手で開くと、その中心を探した。そして堅いモノがあるのを確認すると、そのままベルトを外しにかかり下着ごとズボンを膝下までずり下げた。
「やっ…やだ………」
「今日もあいつに突っ込ませたのに、俺は駄目なんて。そんなこと言わせませんよ」
「ぁ…」
体に入れていたバイブが、押さえる下着がなくなってズルリと抜け落ちる。それを受け止めた心理は、どうすることもできずに顔を崩すしかなかった。
「あなたの体も…偽物より本物のほうがいいって言ってますよ」
「………」
心理の手にしているバイブを手に取ると、彼はそれをタンクの上に置き、トイレのドアを背にベルトを緩めた。そしてタンクを抱くように便器の蓋の上に心理を膝立ちさせると、後ろから躊躇なく勃起したモノを突き入れてきた。
「あ…ああっ…!」
「そんなに大きな声…出していいんですか? こ…んなこと……倉田が知ったら……さぞ面白がるでしょうね」
「や…それだけはっ……」
「だったら、俺のことも受け入れてくださいよ。たっぷりとね」
「うっ…ぅぅ……ぅ…」
自分を慕ってきている倉田には、こんな姿絶対に知られたくなかった。
だけど卯木とも、こんなことしたくなかった。
彼の気持ちは知っているつもりだが、心理には大森と言う相手がいる。そう思っているのに、体は簡単に卯木を受け入れてしまう。
後ろから突かれてワイシャツの下の肌を撫でられると素直に感じてしまう。両の乳首を摘ままれて指の腹で摩られれば、のけぞるほどの快感が襲う。
「ぅ…ぅぅ…ぅ…」
心理は自分の手を噛んで必死に声を出さないように努めたが、後ろから突かれるたびに腰をくねらせていた。乳首を触っていた卯木の指がズルズルと下に下がってきて、股間で震えているモノと袋をやんわりと握る。
「勃起…してますよね……?」
「ぅぅ…ぅ…ぅぅぅ…」
否定したいのに否定出来ない。
心理のモノはこんな状況で、さっき大森のところであんなにしてきたと言うのにまた先走りの汁を垂れ流し堅くなっていたのだ。それでも否定したくて首を横に振るのだが、卯木は心理の耳元で嬉しそうにこう囁いた。
「結局ただの淫乱なんですよ、あなたは」
「ぅ…ぅぅ…ぅ……」
卯木が囁いた言葉に、また感じてしまったのを悟られる。
「まったく分かりやすいですね、先輩は。モノがまた大きくなりましたよ」
「ぅぅ…ぅ…ぅ…ぅ……」
悔しくて恥ずかしくて涙が頬を伝う。
モノをしごかれながら袋を弄ばれ、後ろから嫌と言うほど突かれる心理は、早く彼が満足してくれるのを待つばかりだった。
コツコツと廊下を歩く足音がする。
それが通り過ぎること数回。いつ誰がトイレに入ってきてしまうのか、そんな危うさの中で卯木は心理を十分に味わい、それだけでは満足せずに今度は蓋の上に腰掛けさせると射精してない心理のモノをしゃぶりだした。
「も…もぅやだ……やだったら…卯木……」
それでも彼がやめてくれるはずもなく、ほとんど吸い取られるような格好で射精させられ、今度は卯木のモノをしゃぶらされた。
「中で出さなかったから、ちゃんと全部飲み込んでくださいよ」
「ぅ…ぐっ…ぅ…」
ドクドクッと口にしたとたん中に放出され、思わずむせてしまうところだったが何とかそれを避けて濃い精液を飲み込む。心理の顔は涙と鼻水でくしゃくしゃになっていた。
最後に髪を掴まれて、また便座に座らされるとぐったりとしたまま相手を見つめる。
卯木はきちんと身支度をしてから屈み込み、心理のワイシャツを捲り上げると胸から股間までを目を細めてしばらく鑑賞してきた。その間も心理の秘所はヒクつき、中に入れるモノを欲しがっていた。
「も…いいだろ……? もぅ…解放してくれ…」
「………いいですよ。でもこれからはあいつだけじゃなく、ちゃんと俺にも奉仕してもらいますけどね」
「ぇ……?!」
驚いて目を見開くと、卯木は心理の素肌を愛しそうに触りながら口を緩めた。
「あいつには社のために抱かれてもらいますが、俺には口止め料として抱かれてもらいますよ。これからもずっとね」
「………な…んで………」
なんでこんなことになるんだ……。
心理は言葉をなくし顔を歪ませるしかなかった。
終わり