タイトル「クリスマスは終わらない」 -刑事と教師-

「あのさ…。その日になって欲しいもの言うの、やめてくれないかな…」
「仕方ないだろ。欲しいもんなかったんだから」
 ベッドの中でクリスマス当日の朝。
正確には昼近くになってからそう言い出してきたのは本占学(ほんりょう-まなぶ)だった。
二十代後半の引き締まった体は洋服を着ると目立たないが、職業柄日々鍛錬を欠かせないので随所に程よく筋肉がついている。顔も年を追うごとに渋さを増して、今じゃ取り巻きとか追っかけがいるくらいだ。
でも性格がイマイチで自分勝手と言おうか…。何でも自分中心で物事を考えるので恋人である志島灰人(しじま-はいと)を悩ませてもいたのだった。


 ふたりの出逢いはある事件がきっかけだった。
ホテトル嬢連続殺人事件を追っていた本占が志島の部屋に聞き込みにきた時のことだ。
お互いがお互いを意識してしまった。それがきっかけだ。
色香に酔う。そんな感じをお互いに感じた。だから本占が仕事を終えて志島の部屋のチャイムを鳴らした。
それが合図だった。
 ピンポーンと鳴る間の抜けた音が何度も室内に響く。それに答えた志島はもう後戻り出来なかった。
ドアが開くとお互いがお互いを求めていた。挨拶も何もない。
インスピレーションだけが頼りの紬合いは玄関先で始まっていた。
抱き合って唇を合わせ、吸い合い、体を弄り合う。
志島はその時ズボンの下に下着も穿かずに彼を待っていたのだった。
だからすぐに彼を受け入れ最奥に挿入されて身を震わせていた。
尻の筋肉を何度も固くして彼を満足させ、溢れるほどの彼の精液を体内に入れてもらった。
それがきっかけで付き合うようになったのだが、それ以来彼には振り回されっぱなしだった。

 事件に進展がないと鬱憤晴らしで尻に挿入され、その事件が解決すると祝いだと称してまた挿入された。
別に恋人だから入れられるのはいいのだが、その時の理由がどうなんだろう…といつも思う。

 鬱憤晴らしで志島は、縛られ・焦らされ・散々な目に合うのが常だ。
だが事件が解決となると、今度は志島から挿入していかなければならないのだ。
 それが案外厄介で、少なくとも彼を3度は満足させないと眠ってくれないのが苦痛だった。
「あのさ…。俺、奉仕するの疲れがきてんだけど」と言っても「ふーん」で終わられてしまう。そこがまた辛い。
「…だったらさ」と彼から提案されたのは尻の処理だった。
勃起した彼のモノを入れてもらうためには、事前にそれなりの処理をしておかないと楽しんでもらえないし楽しめない。
それは先に腸内のものを無くすために浣腸したり、尻の穴の拡張をしたり…だ。
彼はそれをしたがったのだった。

 惚れた弱味で言うことを聞くと浣腸やプラグに興味を覚えられた。
来る毎にまず浣腸をされてプラグを挿入される。そのままの姿で前をしごかれて泣きながら許しを乞う。
その姿がまた好まれて今度は追加で勃起前のモノの根本にリングを装着されて苦しむはめになった。
それが今だ。
「ぅっ…ぅぅっ……」
「どうだ。苦しいか?」
「ぁ…たりまえだろっ……。はっ…やくこのリングを…はっ…ずしてくれっ……」
「それは出来ないな」
「くっ……ぅ……」
「俺はな、お前のその顔が好きなんだ。パンパンに腫れたモノを自らしごくことも出来ずに俺に頼る。ケツを振っておねだりをするその姿がとてつもなく好きなんだっ」
「ぅっ…ぅぅ……ぅ…」
「そうだ。もっとケツを振って鈴を鳴らせ」
「ばっ…かや…ろぅっ……!」
 まったく馬鹿げていると思った。だけど好きだから許せる。志島は悪態をつきながらも彼の望むまま鈴を鳴らすために必死になって腰を振った。
鈴の音がチリンチリンッと室内に響いた。

 志島はここにいたるまでに何度か浣腸をされて腸内を洗われていた。しかし排泄する姿まで見られるのは御免だったので勘弁してもらったが、その一線を超えるのも時間の問題かもしれないと心の片隅で思っていた。
「ぅんっ…んっ…んっ……!」
 股の間に彼がいる。志島は腫れ上がるモノに痛みを感じながらも必死になって尻を振った。
きつく制御されたモノからは先走りの汁がトプッ…トプッ…と滴り落ちて根本のリングを濡らす。
「ほ…んりょぅ……」
「下の名前で呼べ」
「しっ…しぶやっ……。お願いだっ…リングを……。リングを外して…くれ……」
「…それは出来ないな」
「ど…して……?」
 言われて志島は涙を流して相手に問うていた。すると彼は志島のモノに手を伸ばし、腫れ上がっている志島のモノをキツくしごきながら笑ってこう言った。
「プレゼントだからさ」
「ぅぅぅっ……」
「志島…。まだまだだよ。志島のケツは前を制限されてこそ俺のモノをキツく受け入れてくれるんだからっ」
「くっ…ぅぅ…ぅ…ぅ…ぅぅっ…ぅ…」
 嫌と言うほど前をしごかれて意思とは反したトロトロッとした射精を強いられる。
それを堪能されてから口で彼の勃起したモノを奉仕し、隅々まで彼のモノを清めてから喉の奥まで何度も突っ込まれて射精されたモノを有難くいただく。
そうしておいてやっと後ろに入れた鈴付きプラグを抜かれて雄々しく勃起した彼のモノをあてがわれた。
「本当は始めからココに入れて欲しいんだよな?」
「ぁっ…」
「ちゃんと返事をしろっ」
「ぁ…ああっ…。そぅ…だよっ! 俺はっ…お前のモノが欲しいっ! ! 奥まで入れて…グチャグチャにしてくれっ…!」
 思わず大きな声でそんなことをねだってしまった。志島はそう口走ってから恥ずかしさで身を震わせた。
「……そうか、分かった。ちゃんと奥まで入れてからたっぷり注入してやるよっ」
 ふふふっ…と心底楽しそうに笑われると、もったいぶって挿入される。
「あぅっ…! ぅぅっ…ぅ…ぅぅっ…ぅ…!」
 ズブズブと根本まで入れられてギリギリまで出されるとまた勢いよく根本まで入れられる。
激しく何度もそんなことをされて根本を制御されたモノをまた大きく勃起させてしまった志島は、ただただ嗚咽を漏らすだけだった。
「あぅっ…! うっ! ぅぅっ! ぅっ…! ぅっ…!」
「気持ちいいかっ?! 言えっ! 気持ちいいか言ってみろっ!」
「ああっ…! あっ…! んんっ…! んっ………! とっても………とっても気持ちいいですっ!!」
「けッ…! この、淫乱野郎がっ! こんなにケツ振って、俺より多く汁垂れ流しやがってっ!」
「ぅ…ぅぅ…っ」
「こういう時は…何て言うんだっけっ?! 早く言えよっ!」
「すっ…すみませ…んっ…! ごっ…めんなさぃ…っ!  あなたより汁を流してっ……申し訳ございませんっ…! だっ…からっ……!」
「違うだろっ?! それから? 続きを言えよっ」
「ふっ…ぅっ…ぅっ…ぅっ……!」
「言ってみろっ! 私はズブズブの淫乱ですって!」
「ぅっ…ぅぅっ…ぅ…! わ…私はっ…ズブズブの…淫乱ですっ……!  だっ…から早くっ…! もっと奥までっ……!!」
 言葉とともに激しく腰を振っておねだりをする。
志島はクリスマスプレゼントとしてもらったリングに対して、何も用意をしていなかったために彼への奉仕につぐ奉仕をしなければならなかった。
 彼の精液を体中に浴びて必死になって腰を振る。昼過ぎから始まった行為は部屋が薄暗くなってもまだ続いていた。
 くそっ…! リングが…痛いっ!
 でもっ…もっともっと犯して欲しいっ!!
 彼と付き合うようになってからどんどん自分の本性が暴かれていくようでうろたえる。
志島は素直に彼に従いながらも快楽を味わい、手に入れたものはもう離したくなかった。
縛られても焦らされても敷いられてもいい。彼に注いでもらえるのならそんなことは厭わないと思っていた。
 クリスマスは、辛くて痛くて嬉しい日……になっているのだろうか。
「ひっ…! ああっ…ぁっ…ぁぁっ…!」
「ぅぅぅっ!!」
 一瞬彼が動きを止めて志島の中に精液を放つ。志島はそれを受け止めながらトロトロッと自らも何度目かの射精をしていた。
「くっ…ぅぅ………。おもらし…した…。また…俺をしかる?」
「だな。体力回復したらまたお仕置きだ」
 クスッと笑われて気を良くした志島がおねだりをした。
「しぶや……抱いてっ……」
「抱いてるだろ」
「うん…」
「もっとギュッとか?」
「うん。もっとギュッと」
「仕方ないやつだな」
 優しく言われてキュンとした志島が尻の穴に力を入れる。
「ばっ…かやろ…ぅ…! そ…んなことしたら、また……」
「ぁ、ごめんっ…」
 すごろくは最初に戻った。充実しながらもふたりはまた最初から同じ行為をおさらいするのだった。だからいつまでたってクリスマスは終わらないのだ。
終わり
20140217
タイトル「クリスマスは終わらない-刑事と教師の場合」