タイトル「オヤジのちょっとした日常」
お日様がしっかり真上に上がってからベッドの中で真っ裸で目覚める男がいた。
名前は山吹艦(やまぶき かん)。35歳。ボサボサの髪をガシガシ手でかきながら伸ばした体を静かに縮めてゆっくりと床に脚をつける。
「痛ってて……。そこいらじゅう痛いじゃねぇかよ……」
真っ裸のその体にはそこここに紐で縛られたような跡があり少し痛々しくもあったかが、本人はあまり気にしてないらしい。
「あいつ……帰ったのかな……」
ポツリと独り言を言うと、伸びてしまった髭を手で擦りながら洗面所に歩く。
「あー………腰痛てぇなぁ」
少し脚を引きずりながら腰をトントンと叩いてみる。
あちこちにガタがきている体での強制性行は少々辛いものがあった。
それでも歯ブラシを水で濡らしてチューブから歯磨きをつけて口に突っ込む時には自分の体が綺麗に拭かれているのに気づく。
ゴシゴシと歯を磨きながら体のあちこちを、そして目の前の鏡を覗き込む。
しかし覗き込むとそこには不精髭を生やしたおっさんがいて幻滅するのもいつものことだった。
「どうしてあいつは………」
若くない、こんなおっさんに興味があるのか……。
それは相手にしか分からないのに、そのジレンマに軽いため息をつく。
「まったく目眩がしそうだぜ…」
今でも信じられない。
艦は自分に起った出来事が今でも信じられなかった。
思ってもみなかった若い男から告白された。
そして嫌も応も無く関係を結ばれたのだ。
忙しさに任せて放っておいた体はすこぶる反応が良くて、自分でも驚くほどだった。
でもそれは相手の勢いに負けただけの話だ。そして今回もそうだっただけの話だと思おうとした。
「酔ってたからな」
自嘲してみるが、それでは済まされないのも分かっている。
「腰が痛てぇってのっ!」
我がままにもう一度叫んでみるが、この疼きにも似た感覚は急に収まることなどないのも分かっている艦なのだった。
●
明日は休みだった。
だから仕事が終わってから居酒屋に行っていつもより多く酒を飲んだ。
上機嫌で帰る途中にあいつから電話があって自宅前で待ち伏せされた。
別にそれはいいのだが、その後が後の祭とでも言おうか……。
彼の名は久高智也(くだか ともや)。
大学生のイケメンであり、かつての会社の入っていたビルの警備員でもある。
顔は先にも言った通り向井ナントカに似たイケメンの背高のっぽだ。
気分が良かったから部屋に入れたらとたんに組み敷かれて裸に剥かれて縛られた。
脚を全開になるほど開かれて左右の脚を綴じられないように首の後ろを経由された。
手は腕から手首にかけて後ろ手にしっかりと縛られたので抵抗らしい抵抗も出来やしない。
だけどその時の艦は酔っていたのもあっていつもよりヘラヘラしていた。
「誰と飲んでたんです?」
「そんなのお前に関係ないじゃ…」
「関係ないはずないですよね。少なくとも俺はあなたの恋人なんですから」
「恋人? 笑わせるなよ。いつも無理やり犯っといて恋人だなんて。ちゃんちゃらおかしいね」
「そうですか? 本当にそうだと思いますか?」
「思うよ。思う。お前は俺の体を弄んでるだけだ。この哀れなヤモメオヤジを自由にしておもしろがってるだけだ」
「あなたって人は……」
バシンッ! と平手打ちをされて尻を持ち上げられるとソコにローションをたっぷりと垂らされて無骨な指を秘所に押し込まれる。
「うっ…ううっ…うっ……!」
何度も何度もそんなことをされていると自然にソコは反応して男を受け入れる体勢を整える。
モノは触られてもいないのにヒクヒクと動いて先走りの汁を垂らすのも覚える。
艦は久高の行為によって下半身が別の生き物のように元気に反応して相手を待ち侘びるのを見て、毎回恥ずかしさに襲われる。
特に今回は言うことを聞かなかったせいか、それとも相手の気分なのか、抵抗も出来ないくらいキツく縛られていたので余計に興奮した。
「あなたのココは……まるで俺を待っていたみたいに嬉しげにヒクつきますね。もしかしてもう何度もココに男を誘い入れてます?」
「ばっ…かなっ……!」
馬鹿なことを言うなっ! と怒鳴りたかったのに出来なくて、どうにか出た言葉に久高が追い打ちをかける。
「じゃあ俺が初めて押し入った男でいいんですね?」
「そっれは……」
当たり前だろと言いたかったが、それも癪なので言いたくなかった。
だから何も言わないでいると、ローションで濡らされたソコに無骨な指をグチュグチュと音を立てるくらいのスピードで出し入れされた。
「うううっ…!」
「はっきり言いなさいよ。ココは俺だけのものですね? 俺専用だと言いなさいっ」
「うううっ…! うっ! うっ!」
「さぁ!」
「あっ…ああっ! 俺っ…は……お前専用だよっ!」
言ってしまった……。だけどほろ酔い気分だった艦は、その言葉さえ心地よく感じてもいたのだった。
ケツの穴が奴専用なんて……。極めて卑猥だっ……。
笑いだしたいのだが、秘所への出し入れが激し過ぎてそれもままならない。
「いいでしょう。とりあえずあなたの言葉を信じますが、誰と飲むにしてもココへの挿入は絶対に許されませんから、そのつもりで。分かりましたか?」
「ぁ…ああ……。あっ…あ……!」
ズポッ! と指を引き抜かれると今度は彼のモノがソコにあてがわれる。
艦はこの時ばかりは身構えないと記憶が飛んでしまいそうになるのを毎度思う。
「入れてください」
そう言えと催促される。だから艦は恥ずかしさの中でその言葉を口にした。
「入れて…ください」
「駄目ですね。もっと親身にならないと」
「ぅぅぅっ…」
「さぁ。言えばコレであなたの中を引っ掻き回して気持ち良くしてあげますよ?」
早くしろよと秘所の縁をソレでなぞられると、覚えている快楽を思い出して恥じらいもなく欲する言葉を口にしていた。
「お…まえの……その…ソレで………俺をメチャクチャにしてくれっ……。入れて欲しい……。中に出してくれっ……。俺を………お前の所有物にっ………」
「いいでしょう。ではよく言えた御褒美に俺のモノを入れてさしあげますよ」
「ぁっ…ああっ…うっ……うううっ………!」
秘所の縁をなぞっていた勃起したモノが力強く中に押し入ってくる。
艦は尻の肉を両方に開かれながら挿入されて感じまくっていた。
中に根元まで挿入されると今まで開かれていた尻を何度も平手打ちされて体をヒクつかせた。
体がビクビクッと揺れ動くたびに触られても触ってもいない股間のモノがヒクヒクと汁を垂れ流して自らの腹を濡らした。
「そろそろあなたもトコロテン、覚えますか?」
「うっ…ううっ…うっ……!」
その意味が分からずにされるがままになっていた艦だが、挿入されて出し入れされながら両方の乳首を潰すほどの勢いで握られると息が詰まった。
「うううっ! うっ! くっ……!」
「ああ。いいみたいですね……。締め付けがキツくなりますよ? 今度は腰を自分で動かしてみてください」
「うっ! ぐぐぐっ……! はっ! ぁ……!」
出来るかっ、そんなことっ!
しようとしてみてもこんな縛られた体勢では出来やしない。
理不尽なことを言うなっ! と目で訴えると仕方ないな…と久高が艦の腰をしっかりと持つと顔を近づけてきた。
「あなたは体が堅いんでしたね。でも俺は容赦しませんよ?」
言って掴んでいた腰を挿入したままグリグリと回し始めた。
「やめっ! くっ…うっ…ぅぅっ……!」
「どうです? いいでしょ?」
「ひっ…! あっ…ああっ………!」
力強くひっきりなしに腰を回されて、時折グンッ! と突き上げられる。
艦はもうそれだけで駄目になってしまい、勃起したモノから勢いよく射精していた。
白く濁ったソレは艦の胸や肩、顔にも降り注ぎ散らばった。
久高はそれでもやめてはくれず、自らが艦の中に放出するまで艦の腰を掴んで離さなかった。
一度目、二度目、三度目。
いったいいつまで彼を咥え込んでいればいいのか……。
久高は艦が酔っているのをいいことに、艦を縛ったまま放置したりいたぶったりして一晩中責め立てた。
そして自分が満足するとやっと紐を解いて解放してくれたのだった。
「ふ……ぅぅっ…」
「いいざまですね。とても弱っているくせに卑猥なんだから。ああもう一回したくなっちゃったな……」
「も…勘弁してくれよ……」
「そうですね。こんなに何回もしちゃうと回復するまでに時間がかかってしょうがない。あなた、どうせ暇なんだから夜までに体力回復しておいてくださいね」
「無茶…言うな……」
「まっ、俺としちゃ弱ってても、したけりゃしちゃいますけどね」
「ぇぇぇ……」
最低な感じ……。こいつってこんなんだったっけ……。
思ってみるがされたばかりの艦はヘロヘロしていて、とてもじゃないが何かを真剣に考えるなんて出来っこなかった。
ただひたすら寝たい。
ぐっすりとベッドで誰にも邪魔されずに深い眠りに落ちたい。
艦は解き放たれた床の上でそんなことを考えていたのだが、すぐにそれは現実となる。
しっかりと体の隅々まで拭いてもらって裸のままベッドに寝かされる。
そんなにされても眠りについていた艦はそのリアルを知らない。
再び目覚めた時、思いのほか自分が綺麗なことに気づいて彼の気配りの良さに気づくのだった。
「こういうところが嫌いなんだよっ!」
いない彼に言ってみるが、それも否定されないと分かっているからだ。
夜まであと数時間。そうするときっとまた彼は来る。
しかしその時までに艦の体力は回復しそうもなかったのだった。
「無理させんなってのっ!」
終わり
20121221
タイトル「オヤジのちょっとした日常」