タイトル「流刑の館-主線-4」
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グスタフの部屋には朝の日差しが十分に入ってきていた。
大きな机を海聖・典聖・愁耶・叶瑠が囲んでいる。しかし皆学習的にレベルが違うので同じ勉強をしているわけではない。個々違う勉強をしているのだった。
それをグスタフひとりで面倒みているのだ。
今月は給金を上げてやらなければ……と海聖は頭の片隅で思ったのだった。
最初の三十分くらいは順調に進んでいたのだが、おとなしくしているのも限界にきたのはただひとり典聖だった。
「あー、かったりぃんですけどっ」
「まだまだ始まったばかりです。典聖君はまず言われた頁まで本を読んでください。それから筆問に入ります」
「うーん。つまんないんだよ、こういうのっ」
「……典聖君はまずは我慢から覚えないといけないレベルですか? あなたより年の若い子はまだ音を上げてませんよ?」
「分かってるけどっ。でもつまんないんだってばっ」
「…そうですか。ではあそこで立ってますか?」
グスタフが指さしたのはドアだった。つまりはドアの前で突っ立ってろと言うのだ。それを見た典聖はブツブツと小さく文句を言うと再び本に目を落とした。
すると今までひらがなを書く練習をしていた叶瑠が心細そうに愁耶に寄り添った。
「叶瑠?」
「……」
「どうしたの?」
「…」
たぶん怖いのだろう。今までこんな生徒はいなかったから当然だと言えば当然の反応だ。
叶瑠の肩をそっと抱くと顔を近づけて「大丈夫だよ」と優しく言う愁耶。それを見た海聖は、やはりこの二人はまだまだ離してはいけないのだと思ったのだった。
九時から十一時半までの二時間半。
みっちりと各自勉強タイムを取ると少し早い昼食を取って自由になる。ここぞとばかりに外へと出かけたいのが典聖だった。
「なぁなぁいいだろ?」
「仕方ないですね、約束ですから」
グスタフに甘えるのは大好きなようだ。
典聖は彼の腕にしがみつくと上目遣いで彼を見上げた。そうされると彼だって厭な気はしない。いつも完璧な海聖とクラークには間違ってもこんなことはされないからだ。
玄関先でグタグタとダダを捏ねる典聖はちょっとだけグスタフを困らせていた。
「こんなに僻地で広大な村をまさか徒歩で見て回るなんて言いやしないだろうね」
「う…うーん……」
「海聖。車出してよっ! 車っ!」
「しかしグスタフは免許を持ってないから駄目だろう」
「それなら俺の執事に運転させればいい。おい、佐久間。お前免許持ってるよなっ」
「…免許は持ってますが、ここの車が運転できるかどうかは見てみないと分かりません」
「だいたい車なんて一緒だろっ!?」
「四輪だというのが一緒なだけで形態によっては私などが運転できる範疇を超えている場合もありますので何とも…」
「クダグダ言うなっ!」
確かに佐久間の言う通り最新式の車と馬車に近いタイプでは乗り込む位置とか高さが違うので間違いを起こしやすい。
しかし典聖の言う通り、この広大な村を隅から隅まで見て見ようとすると車か馬車でなければ無理というものだ。
だから車が駄目なら馬車でどうかと尋ねたのだが、車よりも扱ったことがないときた。これでは仕方ない。車を出すより策はなかった。
○
「このタイプは初期型ですので、最初に私がネジを巻きます。あなたは運転席に座って念のためブレーキを踏んでいてください」
「分かりました」
言われるままに佐久間は少し高い運転席に緊張の面持ちで座り込んだ。ちょうど馬に乗ったくらいの高さだ。
続いて座席があるので主人はタラップを何段も上がらなければならないのだった。だが典聖はこんな初期型に乗ったこともなかったのか大層喜んで笑みを漏らしていた。
グスタフもたまにしか乗れない車にご満悦だ。そして唯一ちょっと不安そうなのは運転しなければならない佐久間だった。
「ではいきますよっ!」
「はっ…はいっ!」
掛け声を掛けてからクラークが車の前にある大きなネジを回しにかかった。最初は力を込めて。徐々に軽くなってくるのを他の人は音で感じていた。
グッグッグッ…グワァーンッ!
ブルブルブルブルッと車体が揺れてエンジンが勢いよく回りだす。
「さあっ! いいですよっ!」
大きなネジを運転席にいる佐久間に手渡すと大きく手を振る。ネジを受け取った佐久間は緊張しながらアクセルに足を置いたのだった。
少しづつ車が動き出す。窓から顔を出した典聖は笑顔で手を振ってきたので反射的に手を振ってしまった海聖だった。
「じゃ、行ってきまーすっ」
「変なところをウロウロするなよ。ぬかるみに足を取られるぞ」
「分かってる分かってる。佐久間は臆病だからそんなとこ行かないよ。それに俺にはグスタフ先生がついてるから大丈夫だよ」
かかかっとカラ笑いをすると車が出ていく。
「大丈夫かな…」
心配になってそんなことを口走ってしまったが、それはクラークも同じだったらしい。大きくため息をつくと心配そうに空を見上げたのだった。
「雨が降らないといいのですが…」
「そんなに心配ならお前が運転してやればよかったじゃないか」
「私には坊ちゃんのお世話がありますので」
「僕は大抵のことはひとりで出来るぞ」
「ええ。でも私はこの館の執事であると同時に坊ちゃんの執事ですので」
「そうか」
それ以上は言い合いになるので言わなかったが、正直ウザいのだ。
昼間の何もない時間帯くらいゆっくりさせてくれと言いたい。でもこういう場合クラークはけして休ませてはくれない。
書類のサインをひたすら書かせたり、読書だと言って無理やり難しい本を読ませたりするのだ。そして疲れたところを見計らって体への奉仕が始まるのだった。
海聖は別に何もしない。クラークが何もかもするのだが、それがまたどういったらいいのか…。
○
「書類のサインはすべて済んだぞ。疲れた。紅茶が飲みたい」
「御意に」
しばらくすると大好きなオレンジピールを垂らした紅茶が運ばれてきた。
「今日は殊の外順調にスケジュールがこなされています。これも典聖さまが無駄な動きをなさらないお陰でしょうかね」
「典聖のせいにするつもりなのか」
「いえ、けしてそのようなことは。ただ典聖さまの奔放ぶりを伺っておりましたので、少々意外と申しましょうか」
「あれはあれで本家に歓迎などされずに育ったのだ。こっちにきて羽を伸ばしてるんだろう。しかし水晶の現場はけして教えては駄目だぞ?」
「分かっております。あれを利用されたら坊ちゃんは一貫の終わり」
「…厭な言い方をするな。もうちょっと良い言い方をしろ」
「…どうせどう言っても同じなのでいいでしょう。さっ、紅茶が冷めてしまいますよ」
「ああ」
温かい紅茶を一口啜ると気持ちがすごく落ち着いた。
「今日も格別だ」
「ありがとうございます」
これだけは素直に旨いと褒めてやれた。しかしその他のことは「いいぞ」と褒めてやりたくなかったのだった。
午後三時。
小一時間ほど前に紅茶を飲んでしまったので、三時の紅茶タイムはもう少し後になった。というのも今海聖はクラークに下の躾をされている最中だからだ。
天蓋を垂らして中を見えなくしてから行われる行為。
下半身を脱いでベッドに入るとお湯で清め温められたクラークの指が海聖の股間を弄るのだった。
「んっ…んんっ…」
「どうです?」
「ぅ…うん……」
何をどう答えればいいのかが分からない。
海聖は唇を噛みしめシーツを握りしめると自分のモノが反応してくるのを待つしかなかった。クラークの温かい手が海聖のモノをやんわりと握りしごきだす。
そしてもう片方の手で袋を揉みしだきながら薬指が後ろの穴を探りにかかった。
「ぁっ…う…ううっ…」
「今日は後ろも解しますので」
「ぇ…ぁ…ああっ…」
袋を揉んでいる手の指が後ろの穴を探り当てる。ニュルリとその先が入ってきて海聖は反射的に「ひゃっ!」と声を上げてしまっていた。
「大丈夫ですよ。すぐにはイカせませんから」
「ぅぅぅっ…ぅ……ぅ…」
それがいいのか悪いのか。
判断するよりも、海聖は自分の中に入ってきたクラークの指の動きに気を取られていた。
そっと第一関節まで入れられた指は、その指だけに付けられているオリーブオイルの力を借りている。
高価なオリーブオイルは生でも飲める代物なのだが、こんな時にしか使われないのがこの家だ。
クラークは前のモノを優しくシゴキながらゆっくりと根本まで差し入れる。そうしておいて前を上下にしごくものだから海聖はたまらなかった。
「ぅっ…ぅぅっ……」
「いつもながら坊っちゃんの中は熱いですね」
「ぃっ…うなっ……!」
「はい。申し訳ございません」
それからは何も言ってもらえず余計に気まずい雰囲気が漂う。
海聖は股を割られて射精するまでクラークの指を受け入れなければならなかったのだった。
やがて股間のモノは堅くなり大きさを増す。
増すとは言っても元々小振りなので大人のような大きな変化はない。皮を被ったモノがズルリと剥かれてピンク色の綺麗なモノが晒される。
「今日もご健康そうです。一度出してしまいましょうね」
「ぅんっ…」
返事など待たずにグイグイと、まるで搾り取るようにしごかれる。
これはいつもよりも力が強い。だけど優しくしろと言えば反対のことをされるので迂闊なことは口に出来ない。
海聖の苦痛は今始まったばかりだった。
代々海聖の家は執事にこのようなことを任せている。
それは嫁をめとってからも何ら変わりはなく続けられる習慣だ。
元々嫁は子供を産むためにまぐわるものと位置づけられている。だから跡継ぎを産まない者はその地位さえ危ないとされているのだ。
執事の仕事として前処理が出来たら次は後ろの処理だった。今度は指などの見えない判断などではなく直接目視を常とされる。
後ろの穴に指を入れられて慣らされてから勃起するかどうかを目視される。勃起したら今度は男根での処理となる。
クラークのモノを使って直接内部を診断されるのだ。
いいか悪いかの判断は勃起するかしないかに限った。射精したらすこぶる健康体だとお墨付きがもらえる。
これは年に一度本家にデータとして送られている。
これが生きている証でもあり跡継ぎになれる可能性を秘めているという意思表示でもあるのだ。
始めた当初はすごく厭だった。
でもいいように言い包められて、今では健康管理の一環として週に何度もされているのだった。
「失礼いたします」
今度は全裸にされて脚を開かれる。持ち上げられて股の間に顔を埋められると舌先で尻の穴を突かれるのだ。
不意にされるのでいつも声が出てしまうのだが、今日こそはと唇をきつく噛みしめて耐えてみせる。
だが今回も思うようにはいかなくて「ひゃっ…!」という小さな声をあげてしまったのだった。
「いい声ですね」
「だっ…まれっ…!」
「これは、すみません」
含み笑いをされて屈辱に耐えるしかなかった。
「ぁっ……」
チロチロと焦らすように穴を舐められて体が心が震える。それを相手に知られたくなくてキツく唇を噛み締めるのだが、漏れてしまう声で自分の快感を相手に伝えてしまっていた。
「ああ…坊っちゃん。こういう場合は、もっと心を開放なさらないと」
「うっ…るさぃっ!」
お前はお前の仕事をさっさとすればいいだろうっ!
言葉にはならなかったが、それが海聖の真意だった。
小さい頃から彼に育てられたと言ってもいい海聖は彼のことが本当に好きだった。
だけどこんなことをされるようになって、どんどん彼が嫌いになっていったのだ。
こんなことが何を意味するのか。
ただ定期的に健康かどうかを射精するか否かで判断される。こんな愛もない行為は、好きだった彼をどんどん嫌いになっていくに過ぎない。
彼のことが好きな自分を嫌いにさせていく行為にすぎなかったのだった。
だから出来ればしたくなかった。
だけどそれはここの当主である自分には出来なくて、結局なし崩し的に相手に肌を晒す。
そして内部までしっかり見られて、それでも尚彼から「愛してる」などと言う言葉は口にしてもらえないのに悲しみだけが増していく。
こちらからそれを言うことさえ許されない立場にもどかしささえ感じるのだが、結局自分の求めているものは愛は愛でも父や母に値する愛なのではないかと思っていたのだった。
父や母は自分が射精するかどうかなど、あまり頓着ないに決まっている。それをわざわざ確かめられるのは屈辱以外何者でもなかったのだ。
「さあ坊っちゃん。力を抜いてください」
「ゃっ………ぁ……ああっ…ぅっ! うううっ………!」
嫌だと言うのにやめてもらえない。海聖はクラークによって体の内部まで確かめられていた。
彼の勃起したモノが緩めた秘所からグイグイと差し込まれてくる。苦しさで力を抜けと言われてもいつも力んでしまうのをクラークは分かっているので、わざとモノを触ってきたのだった。
袋ごとモノを揉みしだかれてフッ…と心が気持ちが飛ぶ。根本までしっかりと埋め込まれて身動き出来なくて涙が流れる。
「泣かないで」
「ぅっ……ぅぅ…」
無茶ばかり言うっ…。こいつはいつも…………。
優しく頭を撫でてくれた幼い頃の思い出が一瞬脳裏をよぎるが、それはもう幻想なのだと痛みが疼きが教えてくれるのだった。
続く