タイトル「そろそろ貴方を感じたい」
「んっ……んっ……ん……んんっ……んっ!」
安室透は眠りについたはずの布団の中で自慰行為に耽り、それでは物足りずに悶々ともしていた。
「あああっ! あっ!」
ドクドクドクッと手の中に精液を放つ。
「……」 こんなんじゃ……全然足りないっ。
汚れた手をティッシュで拭きながら、もう片方の手で股を弄っている。
出すものを出しても満たされないのは誰かに満たされたいからだ。だからと言って該当する相手がいない。寂しさはマシマシになりどうしたらいいのか分からなくなるほどだ。
「アレ、しかないか……」
出来れば出したくなかったが、使わないと満足出来ない体になっている。
認めたくはないが、たぶんもう引き返せない。安室はベッドサイドの引き出しからシリコンで出来た男根を取り出すと、その大きさをマジマジと見つめた。
「しかしデカいな」
これはもうこの世にはいない恋人のモノを象ったものだった。体に負担があるからとあまり挿入にまでは至らなかった。今となっては後悔しかないのだが、デスマスクではなくモノモデルを残していくあたり彼らしいと思うのだが、まさかコレを自分が常時使用することになろうとは思わなかった。
下半身をすべて脱ぎ捨ててジェルを塗りたくると慣らしなくモノを押し当てる。
力を抜きながらゆっくりと押し込んでいくと、そのキツさから涙が流れるが行為を止めようとはしなかった。
「あっ……ぁっ……ぁぁ……ぁ」
半ば無理やりモノを突っ込む。根本までしっかり入れ込むと出て来ないように座り込みスイッチを入れる。
「んっ! んんっ! んっ……」
振動が体中を突き抜け反射的に自分のモノを握りしめしごき出していた。
「あっ……ぁっ……ぁ……んっ、んっ、んっ」
イイっ……! すごくっ……感じるっ!
乳首を摘まみ捻り上下に運動しながら欲を満たす。それでも物足りなさを感じて鈴口に爪を立てるとブルブルッと体を震わせて射精していた。
「ぁぁぁっ……ぁ」
駄目だっ……。もう……誰かにされたくて仕方ないっ。
〇
何日も何日も悶々として出た答えはデリだった。厳選して厳選して相手を考える。
「場所はRホテル。仕事のついでて来ました風にして欲しい。僕は目隠ししてるから、勝手に入ってきてくれて構わない」
そう言って電話を切った。一呼吸するとビールを煽ってベッドに入り込む。もう体は準備万端で、いつぶち込まれてもいいようにしていた。裸にバスローブ姿で目隠しをすると相手が来るのが早いか自分が寝込むのが早いか考えてウトウトしだした時、軽く三回ノックがされて部屋のドアが開いたのに目を覚ました。
「……」来た。
カチッと鍵を閉める音がして数秒するとベッド横に男が立っていた。
「お呼びいただきありがとうございます。目隠しをされているようなので、まずは私の選別をしていただきたく存じます」
「ぇ……? ぁ」
屈まれて手を取られると優しく抱かれる。
「匂いはどうです? 嫌いではないですか?」
「ぁ、はい」
「今日は仕事のついで風に、と言うご要望でしたのでスーツで参りました」
ほら、と言う風に体を触らせて確かめさせられた。確かに彼はスーツ姿だったが、手触りでいい品だと分かる素材と仕立てだった。こんなにいいスーツを着てこんな仕事をしているものなんだろうか……と少々の疑問は残ったが、これだけで生活しているとは限らないから何も言うことはない。抱き着き具合で体格もかなりイイ感じだと分かった。声も好みだし使っている香水も感じが良かった。
「準備は出来てるようなので、さっそくいいですか?」
「ええ。お願い……します」
上着を脱ぐ音がして上掛けが捲られるとバスローブの紐を解かれて重なっているローブを開かれる。
「いい体してますね。何か運動とかされてます?」
「多少は……」
「それにモノも半勃ちしてる。しゃぶっていいですか?」
「は……はぃ」
「では」
カチャカチャとバックルを外す音がしてスラックスを脱ぐ音がする。続いてネクタイを引き抜く音、シャツを脱ぐ音がして両脚を開かれたと思ったらいきなりモノをしゃぶられた。
「ぁっ」
チュパチュパと音を立てられながらモノをしゃぶられると袋を揉みしだかれる。腰の辺りをサワサワと触られながら乳首を探り当てられてギュウギュウ握り潰されてモノが硬くなった。
「ジェルは? お持ちですか?」
「はっ……はい。枕の下に……」
「ああ。準備がいいですね」
ニヤリとされたと感じるが実際は分からない。枕の下のジェルを手に取られると秘所に塗られて指が入ってくる。しゃぶられながらの後ろへの刺激は他人にされることによって得られると倍増するのだと今知った。
「あっ……ぁぁっ……ぁ」
「後ろも前もいやらしいほど感じてますね」
「ぅぅっ」
「もしかして、スーツの男にされるの好きなんですか?」
「そ……んなことはっ……ぁっ! ぁぁっ……ぁ」
「あなたの好きなのは私みたいな体格の男なんでしょうかね。跡、残してもいいですか?」
「ぇ?」
「キスマークとか縛りの跡とか」
「み……見えないところなら……」
「では。脚の付け根に」
「あっ」
ベロッと舐められたと思ったら思いっきり吸われて跡をつけられる。口から放り出されたモノはプルプルと揺れて汁を滴らせていた。
「射精する前に一度入れますね」
「ぇ? ぁ、はい」
バスローブを剥がされながら反転させられると股の間に陣取られて生身のモノを挿入される。
「うっ……ぅぅ……ぅ」
「私の……。結構太いでしょ? それに長い。今から中で暴れますからね」
「うっ……ぅ」
男のモノは言葉通り一段と大きくなり抜き差しが開始される。
「はっ……ぁ……んっ!、んっ!、んっ!」
「ギリギリまで出して……。そして根本までぶち込む」
「うっ! うううっ! うっ!」
「チ〇コと袋を握り潰す勢いでしごいて」
「くっ! ううっ! うっ!」
「乳首も潰す」
「うっ!」
「後ろから抜き差しするとチ〇コを揺らして喜ぶのがイケナイね、お仕置きしないと」
「うううっ! うっ!」
耳元で囁かれ、結果的にモノの根本を縛られると射精を妨げられて腰に紐を固定される。乳首も挟むように細い紐で縛られて擦られるとビクビクッとモノが揺れた。
「あなたは乳首やモノを縛ってから洋服を着て欲情してるでしょ」
「そ……んなことはっ……。ぁっ……ぁぁっ……ぁ」
「着痩せするタイプですね。なんていやらしい体なんだろう」
「ぅっ……ぅぅ……」
一度入れられたソコからは汁が滴り落ちている。それに自分のモノからも先走りの汁が垂れているのは分かっている。安室はベッドの上で跪きながら頭を垂れていた。
今から何をされるのか……。
そんなことを考えていると体中確認するように撫でられた。
「お仕事は何をされてるんですか?」
「かっ……関係ないでしょ」
「そうですね。でもこれは実践で付いてる筋肉ですよね。特に尻の肉は……」
言いながら四つん這いにされると後ろからの挿入が開始される。
「うっ」
「もっと尻に力を入れて。私のモノに吸い付くように意識して」
「うっ……うっ……ぅっ……」
四つん這いのまま自分のモノをしごくのもままならないほど激しく突かれて縛られた胸の紐を引っ張られる。
「うっ!」
「いい声だね。それに高揚してるだろ? 体が熱いよ」
「ふっ……ぅっ……ぅ、ぅ、ぅ」
揺さぶられて引っ張られてモノから汁がトロトロと滴り落ちる。縛られているので射精出来ないままの射精をした安室は頬を赤らめながらも次に何が起こるのか期待してもいた。
男は一度中で出してしまうとモノを引き抜き素手で尻を叩いてきた。
「あっ! 痛っ……ぅ」
「いい声だ。もっと鳴いてもらおうかな」
何度も何度も嫌と言うほど尻を叩かれる。しかしその度に安室の縛られたモノも揺れて中で放たれた汁も飛び散る。
「君の尻は随分と物欲しそうだ。もっと入れて欲しいか?」
「ほっ……欲しいですっ! もっと! 後ろから突いてくださいっ!」
尻を叩かれながら相手を誘うように尻を振る。指を差し込まれてくねる腰に自分で貪欲さを感じるが止められなかった。
「いつもココに何を咥えてるんです?」
「偽物をっ……!」
「偽物? ああシリコンの男根?」
「はっ……はいっ」
「それで満足?」
「っ……」
「してないから私を呼んだんですね?」
「……ぇぇ」
「でしたら今後もご贔屓に。あなたの体は私も好きです」
バシッ! とまた尻を叩かれて差し込まれた指で中を?き乱されると膝立ちしていられなくなる。それを見越したように腹に手を回し支えられるともっと中を探られて歓喜の声を漏らすことになった。
「あっ……ぁっ……ぁっ……んっ、んっ、んっ!」
「指で開くと……トロトロ私の放ったモノが出てきますね」
「ぅぅぅっ……ぅ」
「もう少し今度は尻の肉を開いて汁を出しましょうね」
「ぁっ……あっ」
尻の肉を鷲掴みにされてしっかりと開かれるとまた汁が垂れる。腹を押さえられるとブリブリとひり出すように卑猥な音が収まらずに頬がますます高揚する。身を震わせて耐えているともう一度今度は抱き着いて挿入されて別角度からの攻めに善がり声をあげた。
「はぁ……はぁ……はぁ」
「もうすぐ時間なのでシャワーをお借りしますね」
「は……はぃ」
男の気配が遠のいて洗面所のドアが開閉される音がする。安室はグショグショになってしまった股間を弄りながら余悦に浸っていた。
やっぱり本物じゃないと……満足出来ない。
今度も是非今回の男を頼もうと笑みを浮かべながらベッドで丸まっていると彼がシャワーを終えて部屋に戻ってきた。そして素早く洋服を着込むと丸まっている安室を覗き込む
んできた。
「そろそろお暇いたしますね」
「……ぁ……りがとう」
「こちらこそ。テーブルにお名刺置かせていただきます。それからこれ、サービスで動画も撮ったので良かったら使ってください」
名刺と一緒にマイクロSDも置いていかれて初めて撮影されているのを知った。
ドアが開かれて男が去って行く。撮影されていたことに動揺してしまい身動きひとつ取れなかったが、ハッと気が付いて目隠しを取った。そしてテーブルの上を見てみると、そこには言われた通り名刺とマイクロSDが置かれてあった。
良かったら使ってくださいって……。
「ぁ、ああ……」
ひとりでする時にこれ見ろってことか……。
「随分卑猥だな」
自分のされた行為を見て楽しめって? でもこれって……。
「これ、男の顔が分かるっ!」
見たいっ! 今すぐ見たいっ! でも……。
それからしばらく、安室はそれを見ることはなかった。男の名前はRED。もう一度呼ぶかどうかは自分次第だ。
終わり
タイトル「そろそろ貴方を感じたい」
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